インバウンド読了 約10分

外国人向けショート動画の作り方。
言葉に頼らず伝える撮り方

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 5件を記事の最後に掲載
握りずし

外国人に向けた動画というと、「英語のナレーションを入れないと」「字幕をたくさん付けないと」と考えて、手が止まっていないでしょうか。けれども、言葉を増やせば伝わるとは限りません。この記事では、観光庁の調査をもとに、外国人が旅の前に見ている情報と、言葉に頼らない撮り方、撮るべき場面、使い回し方をまとめました。

01外国人は、旅の前に「動画」で行き先を調べる

観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年・確報)で、日本を訪れた外国人に、旅行の前に役立った情報源を聞いたところ、次のような結果でした。

いちばん多いのはSNS(43.3%)で、動画サイト(39.6%)が続きます。個人のブログ(23.9%)や、自分の国の家族・知人の話(19.9%)よりも、ずっと多くの人がSNSや動画を見て旅行の準備をしています。SNSや動画は、旅の下調べの中心になっています。

同じ調査では、山梨を訪れた外国人の約6割(60.3%)が、初めての日本旅行でした(詳しくは「山梨のインバウンド集客」)。言葉も分からない中で「このお店なら大丈夫そう」と思ってもらうには、文字の説明より、目で見て分かる動画が向いています。

02国・地域で違う、参考にされる情報

同じ調査を国・地域別に見ると、参考にされる情報には違いがあります。

台湾・香港・タイの人は、動画サイトを参考にした割合が4割を超えています。韓国の人は、個人のブログ(42.9%)がほかの国・地域より目立って多いのが特徴です。

台湾の人は「テレビ番組」が役立ったと答えた割合も10.8%と、全体(5.0%)の2倍ほどあります。

動画で気をつけたいのは中国です。中国の人はSNSが約5割と多い一方、動画サイトは24.4%と低めでした。中国本土ではYouTubeやInstagramなど多くの海外のサービスが原則使えず、小紅書(RED)や抖音(Douyin)など中国のサービスが中心です。

そのため、海外のSNSに投稿した動画は、中国本土の人には届きにくい点に注意しましょう。

山梨県に泊まる外国人は中国が最も多く、台湾・タイ・香港が続きます(2025年、県の宿泊旅行統計・速報値)。台湾・香港・タイの人に届けたいなら、短い動画は相性のよい手段です。台湾・香港の人に向けては、英語に加えて繁体字の字幕を付けるのも一つの方法です。

お店を探すときに地図アプリを使う人もいるので、動画とあわせて地図の情報も整えておきましょう(「Googleマップの外国人向けの設定」)。

03言葉に頼らない動画の組み立て方

外国人向けの動画で大切にしたいのは、言葉で「説明しすぎない」ことです。ショート動画の基本は「企業のショート動画の始め方」にまとめたので、ここでは外国人向けに変えたいところを4つに分けて紹介します。

1. 最初の2〜3秒に、いちばんの場面を

日本語の看板や店名は、外国人には読めないこともあります。お店の外観や看板から始めるのではなく、湯気の立つほうとう、焼き上がる肉、窓いっぱいの富士山など、いちばん目を引く場面を最初に置きましょう。何のお店かは、そのあとで分かれば十分です。

2. ナレーションより「音」

英語のナレーションを入れなくても、鍋が煮える音、肉が焼ける音、グラスが触れ合う音は、どの国の人にも伝わります。その場の音は、言葉がなくても「おいしそう」を伝えてくれます。一方で、SNSの動画は音を出さずに見る人もいるので、映像だけでも内容が分かる流れにしておくことも大切です。

3. 字幕は英語で、1画面に1行

字幕を入れるなら、短い英語で、1つの画面に1行までにしましょう。たとえば「Hoto — Yamanashi's hearty noodle stew」「5-min walk from Kawaguchiko Station」のように、料理名と場所が分かる一言があれば十分です。長い説明は、動画の説明文やお店のページに書きます。

4. 人の手と表情を映す

料理を作る手元、器を差し出す手、食べた人の笑顔。人が映ると、お店の温かさが伝わります。店主やスタッフが手を振るだけの数秒でも、「歓迎されている」と感じてもらいやすくなります。

04お店で撮っておきたい4つの場面

ひな人形が飾られた、格子戸のある木造の店の入口

外国人のお客さんの不安を減らし、「行きたい」と思ってもらうために、撮っておきたい場面を4つにまとめました。

特に忘れがちなのが、入口から席に着くまでの場面です。初めての日本で、初めてのお店に入るのは、とても勇気がいります。のれんをくぐる、靴を脱ぐ、食券を買う、席に案内される。この流れが動画で分かれば、お店に入るハードルを下げられます。

山梨ならではの景色(富士山、ぶどう畑、桃の花など)がお店から見えるなら、それも大きな魅力になります。河口湖の紅葉の時期なら、富士山と紅葉が一緒に見える窓からの景色も撮っておきたい場面です。

業種別に見ると

外国人向けの動画で撮りたい場面も、業種によって変わります。山梨に多い業種で、考え方の例をまとめました。

飲食店たとえば飲食店なら、料理ができあがるまでの手元と音を中心に、15秒ほどの動画を作ります。最初の数秒に湯気や焼き色を見せ、最後に店の外観と場所が分かる英語の一言を入れれば、地図で探すときの手がかりになります。
宿・旅館たとえば旅館なら、窓からの景色、夕食、温泉の入り方の案内までを、1日の流れで見せる動画が向いています。温泉は、ほかのお客さんがいない時間に撮ります。初めての日本で旅館に泊まる人は、浴衣の着方や温泉のマナーが分からないこともあるので、その不安を減らす場面も入れておきましょう。
ワイナリー・果物狩りたとえばワイナリーや果物狩りなら、畑の景色や収穫の手元に加えて、外国人が迷いやすい「予約の方法」「試飲や食べ放題の流れ」を見せる動画が向いています。料金や所要時間、予約の要不要は、動画の説明文に英語で書いておきましょう。お酒の試飲は、運転する人は飲めないことも英語で伝えておくと安心です。

051本の動画を、何か所にも使い回す

河口湖と富士山

動画は、作って終わりではもったいないものです。スマホで見やすい縦の動画を1本作れば、いろいろな場所で使えます。

SNSに投稿するだけでなく、Googleマップのお店の情報に動画を載せれば、地図でお店を調べた人に見てもらえます。なお、Googleマップのお店の情報(Googleビジネスプロフィール)に載せられる動画は、30秒まで・75MBまで・720p以上です。SNS用の動画から、30秒以内の短い版を作っておきましょう。

店頭やレジ横の画面で流せば、通りがかった外国人のお客さんへの案内にもなります。ホームページに載せたり、国や地域を指定したSNS広告に使ったりもできます。

さらに、同じ素材を日本人向けに編集し直せば、国内向けのSNSや広告にも使えます。撮影は1回で、外国人にも日本人にも届けられるのが、動画の強みです。SNSごとの向き不向きは「企業のSNSの使い分け」で紹介しています。

06外国人向けの動画で気をつけたいこと

  • 実際より良く見せすぎない:実際より量を多く見せる、混雑を隠すなど、実物と違う見せ方は、来たお客さんをがっかりさせ、悪い口コミにつながります。動画は「本当の姿」を見せましょう。
  • ほかのお客さんを映さない:店内で撮るときは、ほかのお客さんの顔が映らないように、営業時間外に撮るか、許可をもらいましょう。
  • 音楽の権利に注意:市販の曲を勝手に使うことはできません。撮影中は店内のBGMを止めましょう。流れている曲が録音に入ると、権利の問題になることがあります。会社の動画で使える音楽は「会社の動画にBGMはどこまで使える?」で紹介しています。
  • インフルエンサーに頼むときは「PR」の表示を:お店が頼んで紹介してもらう投稿は、広告だと分かるようにする必要があります(2023年10月からのステマ規制)。料理を無料で出して投稿を頼む場合も、広告と判断されることがあります。表示は、見る人に分かる言語でしてもらうと安心です。くわしくは「小さな会社のSNS炎上対策」で紹介しています。
  • 富士山周辺のルールを守る:人気の撮影場所では、混雑や迷惑行為が問題になっているところもあります。私有地での撮影には、土地の管理者の許可が必要です。ドローンは航空法などで飛ばせる場所が決まっていて、国の許可や土地の管理者の許可が必要な場合があります。詳しくは「富士山でドローン撮影はできる?」で紹介しています。

07よくあるご質問

Q中国の人に届けるには、どうすればいいですか?
A

中国本土では、YouTubeやInstagramなど多くの海外のサービスが原則使えません。中国の人に旅行の前から見てもらいたい場合は、小紅書(RED)や抖音(Douyin)など、中国で使われているサービスでの発信が必要です。決まりはサービスごとに違うので、始める前に確認しましょう。店頭の画面で流す動画なら、どの国の人にも見てもらえます。

Q動画の長さは、どれくらいがいいですか?
A

SNS用なら、15〜30秒ほどの短い動画から始めるのがおすすめです。料理、入口、景色など、場面ごとに短い動画をいくつか作っておくと、投稿のネタにも困りません。

Q英語の字幕は、自動翻訳でも大丈夫ですか?
A

短い一言なら自動翻訳も使えますが、料理名などは直訳すると意味が通じないことがあります。料理名はローマ字のまま書き、短い説明を添える形がおすすめです。できれば英語の分かる人に確認してもらいましょう。

Q外国人向けの動画の撮影や編集を頼めますか?
A

はい。言葉に頼らずにお店の魅力が伝わる動画の企画・撮影・編集から、英語の字幕づくり、SNSやGoogleマップでの使い方まで、まとめてお手伝いします。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

訪日外国人の43.3%がSNSを、39.6%が動画サイトを、旅の前に役立った情報源に挙げています。伝わる動画は「説明しすぎない」動画です。最初の数秒にいちばんの場面を置き、ナレーションより音、字幕は英語で1行、人の手と表情を映しましょう。4つの場面を撮り、1本の縦動画をSNS・Googleマップ・店頭・広告に使い回します。

参考:観光庁 インバウンド消費動向調査(2025年 確報、Excelファイル)/Googleビジネスプロフィール ヘルプ(写真と動画の要件)/山梨県 令和7年1月〜12月(年間)宿泊旅行統計調査結果(速報値)/消費者庁 ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制/消費者庁 ステルスマーケティングに関するQ&A(いずれも2026年10月27日に確認)

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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