SNS運用読了 約9分

企業のショート動画の始め方。
縦型動画で伝わる作り方

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 7件を記事の最後に掲載
スマホで焼き菓子を撮る手元

InstagramのリールやYouTubeショート。スマホを縦に持ったまま見る短い動画は、毎日のように目にするものになりました。「うちの会社でも始めたほうがいいのでは」と思いながら、何から手をつければいいか迷っていませんか。この記事では、最初の1本を出すまでに決めることを、順番に整理します。

01企業がショート動画を使う理由

総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和7年度、2025年12月調査)では、平日にインターネットで何に時間を使っているかを調べています。いちばん長いのは「動画投稿・共有サービスを見る」で、全年代の平均は1日54.5分でした。10代は127.2分、20代は107.1分です。

広告の世界でも、縦型の動画は急速に存在感を増しています。サイバーエージェントの調査では、縦型動画広告の市場は2025年に2,049億円と、前の年の約1.6倍(155.9%)に伸びました。2026年には2,771億円になると予測されています。

企業がショート動画を使ういちばんの理由は、まだ自社を知らない人に、偶然見つけてもらえることです。ショート動画は、フォローしていない人の画面にも「おすすめ」として表示されます。ホームページやチラシでは出会えなかった人に、短い時間で会社の雰囲気や商品の魅力を伝えられるのです。

02YouTube・Instagram・TikTok、どれを選ぶ?

3つのSNSは、使っている人の年代が少しずつ違います。届けたい相手に合わせて選びましょう。

経営者や40〜60代のお客様に届けたいならYouTube、若い世代や採用ならInstagramやTikTokが向いています。

最初から全部をやろうとせず、届けたい相手がいちばん多いSNSを1つ選んで始めるのがおすすめです。1本の動画は、あとからほかのSNSにも使い回せます。年代別の利用率は「企業のSNSの使い分け」で詳しく紹介しています。

03縦型動画の基本の仕様

ショート動画は、スマホを縦に持ったときに画面いっぱいに表示される縦長(9:16)で作るのが基本です。解像度は1080×1920ピクセルを目安にしましょう。広告に使うなら、Metaは1440×2560ピクセルも推奨しています。

長さの上限は、SNSによって違います。たとえばYouTubeの公式ヘルプによると、正方形か縦長で3分以内の動画は、ショートとして扱われます(2024年10月以降のアップロード)。

上限は変わることが多いため、最新の情報は各SNSの公式ヘルプで確認してください(この記事は2026年10月時点の情報です)。ただ、上限いっぱいまで使う必要はありません。伝えたいことが1つなら、15〜60秒で十分です。

文字やロゴを置かない場所がある

見落としがちなのが、画面の上下に、SNSのボタンや説明文が重なる部分があることです。Metaの広告ガイドでは、Instagramのリールの広告について、画面の上14%、下35%、左右6%にはテキストやロゴを置かないことを推奨しています。

この範囲は、ほかのSNSに出すときにも目安になります。大事な文字が、ボタンや説明文に隠れにくくなります。

04見てもらえるショート動画の作り方

湯気の立つ厨房の料理人

ショート動画は、指一本で次の動画に流されてしまいます。TikTokが広告主向けに公開しているクリエイティブの指針などを参考に、見てもらえる作り方のコツをまとめました。

なかでも大切なのが冒頭です。TikTokの指針では、最初の6秒で心をつかみ、いちばん伝えたいことは最初の3秒以内に出すことがすすめられています。

会社のロゴやあいさつから始めるのではなく、「完成した料理」「職人の手元」「ビフォーアフター」など、目を止めたくなる映像から始めましょう。外国人のお客様に向けて作るときに変えたいところは、「外国人向けショート動画の作り方」でまとめています。

05ネタの見つけ方と、まとめて撮るコツ

三脚に立てたスマホでの撮影

「何を投稿すればいいか分からない」と迷う方もいるでしょう。ネタは、ふだんの仕事の中にたくさんあります。

  • できるまで:商品や料理、建物ができあがるまでの過程。
  • ビフォーアフター:施工や修理、掃除の前と後。
  • 人:社員のひと言、仕事へのこだわり、1日の流れ。
  • よくある質問:お客様から聞かれることに、15秒で答える。
  • 季節:桃やぶどうの季節、紅葉、富士山。山梨ならではの風景。

続けるコツは、1回の撮影で、何本分もの素材をまとめて撮っておくことです。半日の撮影で、仕事の様子、社員のひと言、商品のアップ、季節の風景を撮っておけば、編集で数週間分の投稿を作れることもあります。

横長の動画も使う予定があるなら、同じ場所で縦と横を続けて撮っておきましょう。横の映像を後から縦に切り抜くと、人物の頭や商品が切れたり、画質が落ちたりします。

業種別に見ると

ネタは業種ごとに、ふだんの仕事の中にあります。山梨に多い業種を例に、撮り方をまとめました。

飲食店たとえば飲食店なら、冒頭は湯気の立つ完成した料理から。仕込みの手元や、桃やぶどうなど季節の食材を使った限定メニューができるまでを15〜30秒で見せます。ランチ前の時間に合わせて投稿し、最後に「予約はプロフィールから」と次の一歩を添えると、近くで働く人に見つけてもらうきっかけになります。
工務店・建設たとえば工務店なら、ビフォーアフターがいちばんのネタです。完成した姿を最初の3秒で見せ、そのあとに工事前の様子や職人の手元、工程を早送りでつなぎます。現場に行くたびに数カットずつ撮りためておけば、1つの工事から何本分もの動画が作れます。
ワイナリー・果樹園たとえばワイナリーや果樹園なら、ぶどうの収穫や仕込み、甲府盆地を見下ろす畑の風景など、季節ごとの作業がそのままネタになります。収穫の時期にまとめて撮っておけば、冬のあいだの投稿にも使えます。お酒の動画は表現や見せ方に決まりがあるので、出す前に確認しておくと安心です。

06企業アカウントで気をつけたいこと

音楽は「流行っている曲」を気軽に使わない

個人のアカウントでは自由に使えるように見える音楽も、企業の宣伝の動画では扱いが変わります。会社の宣伝に使ってよいと決められた音源を使うのが基本です。TikTokの「商用音楽ライブラリ」や、YouTubeの「オーディオライブラリ」が、その例です。

市販の曲を使うときの手続きは「会社の動画にBGMはどこまで使える?」で紹介しています。

「広告」と分かるようにする

インフルエンサーや社員に自社の商品を紹介してもらうときは、「広告」「PR」などと分かるように表示しましょう。広告であることを隠した宣伝(ステルスマーケティング)は、景品表示法の違反になります。詳しくは「小さな会社のSNS炎上対策」で紹介しています。

07続けるための体制と、広告への活かし方

ショート動画は、1本だけで大きな結果が出ることはあまりありません。続けるうちに、どんな動画が見られるのかが分かり、少しずつ見てもらえるようになります。担当者を決め、「週に1本」のように無理のないペースを決めて続けましょう。撮影や編集が負担になる場合は、そこだけ外部に任せる方法もあります。

反応のよかった動画は、広告にも活かせます。地域や年代を絞ったSNS広告で、まだ知らない人に届けたり、横長に作り直してTVer広告で流したりすることもできます。

SNSで「知ってもらい」、テレビ画面で「信頼してもらう」流れです。映像を軸に、届け方を組み合わせていきましょう。

08よくあるご質問

Qスマホで撮った動画でも大丈夫ですか?
A

はい。最近のスマホなら、ショート動画には十分な画質で撮れます。会社の魅力をまとめて伝える動画や、広告に使う動画は、プロの撮影と組み合わせると効果的です。

Q顔を出す社員がいなくても作れますか?
A

作れます。手元や後ろ姿、商品や作業の様子だけでも、十分に伝わる動画になります。声だけの出演や、字幕で伝える方法もあります。

Q1本の動画を、3つのSNSすべてに出してもいいですか?
A

はい。縦長で作り、文字を置かない範囲を守っておけば、同じ動画を使い回せます。音楽はSNSごとに使える音源が違うことがあるので、出す先に合わせて確認しましょう。

Q撮影と編集だけ頼むことはできますか?
A

はい。投稿は自社で行い、撮影と編集だけをお任せいただく形にも対応しています。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

ショート動画は、まだ自社を知らない人に偶然見つけてもらえる、企業にとって心強い発信の方法です。届けたい相手に合わせてSNSを1つ選び、縦長9:16で、文字を置かない範囲を守り、最初の数秒で目を止める。音楽の権利とステマ規制に気をつけながら、まとめて撮って続けていきましょう。

参考:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」/サイバーエージェント 縦型動画広告市場調査(2026年3月)/YouTubeヘルプ(ショート動画)/Meta広告ガイド(Instagramリール)/TikTok クリエイティブのベストプラクティス/JASRAC 動画投稿サービスでの音楽利用/消費者庁 ステルスマーケティングに関する規制

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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