SNS運用読了 約11分

小さな会社のSNS炎上対策
スタッフの投稿・口コミ・ステマ

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 8件を記事の最後に掲載
白いシャツの人がスマートフォンを指で操作する手元

「うちのような小さな会社が炎上するなんて」と思っていませんか。少人数の会社では、ルールがないまま、担当者一人の判断で投稿していることも少なくありません。この記事では、消費者庁の資料やGoogleの公式ポリシーをもとに、小さな会社で炎上のきっかけになりやすいことと、A4で1枚の社内ルールの見本、炎上したときの最初の対応を順にお伝えします。

01炎上は、小さな会社にも起きる?

炎上とは、SNSなどで批判の投稿が一気に広がることです。民間の調査(2026年8月の1か月分)では、炎上は272件で、このうち「メディア以外の法人」が92件でした。

企業の規模が分かった71件を見ると、上場していない企業は50件(70.4%)でした。炎上の内容で多かったのは「非常識な行動(モラルのなさ)」の85件と、「接客・対応方法」の74件です。

もともと会社の多くは上場していないので、「小さな会社ほど炎上しやすい」という意味ではありません。ただ、規模に関係なく起きている、ということは言えます。

山梨県の会社やお店の多くは、少人数です。県内の事業所のうち、従業者1〜4人の事業所が62.0%を占めます(令和3年経済センサス-活動調査 確報)。だからこそ、簡単なルールを一枚、先に作っておくことが備えになります。

小さな会社で炎上のきっかけになりやすいのは、次の4つです。

02スタッフの投稿と、口コミへの返信

スタッフの悪ふざけ動画

厨房や作業場での悪ふざけの動画が、スタッフ個人のアカウントから広がる。これは、公式アカウントでなくても、お店の名前と一緒に批判される典型的なきっかけです。友だち向けの投稿や消える投稿も、画面を録画されて広がることがあります。

防ぐには、禁止事項を並べるだけでなく、「なぜだめなのか」をスタッフと一緒に確認することが大切です。入社のときに加えて、年に1回くらいは話す機会を作りましょう。

口コミへの返信

Googleマップなどの口コミへの返信は、誰でも見られる「お店の発言」です。厳しい口コミに感情的に言い返したり、お客様の来店日や注文の内容など、その人が分かる情報を書いてしまったりすると、返信そのものが批判の的になります。

  • まず、来てくれたことへのお礼から:反論から書き始めない。
  • 事実と違う点は、短く落ち着いて:言い争いにしない。
  • 個人が分かることは書かない:名前、日時、注文の内容、そのときの様子など。
  • すぐに返さない:腹が立った口コミほど、一晩おいて、もう一人に読んでもらってから返す。

業種別に見ると

気をつけたい点は、業種によって少しずつ違います。山梨に多い業種で、注意点の例をまとめました。

クリニック・整骨院ステマ規制で最初に措置命令が出たのは、Googleマップの口コミに関わる医療機関の例でした。施術のあとに「星5つで割引」のようなお願いは避け、見返りなしに口コミをお願いするのが基本です。患者さんの顔や症状が分かる写真は、了解があっても載せ方を慎重に考えましょう。
工務店・リフォーム施工事例の写真は、表札や番地、車のナンバー、周りの家から、お客様の家の場所が分かってしまうことがあります。載せる前にお客様の了解をもらい、場所が分かるものはぼかすか、写らない角度で撮りましょう。現場のスタッフが個人のアカウントで現場を載せるルールも決めておくと安心です。
介護施設行事やレクリエーションの写真は、利用者の方やご家族の了解が欠かせません。了解がもらえた方だけが写るように撮るか、後ろ姿や手元の写真にする方法もあります。スタッフが勤務中に撮った写真を、個人のアカウントに載せないこともルールに入れておきましょう。

03知り合いに口コミを頼んでもいい?

スマホを操作する手元

「知り合いに星5つの口コミを書いてもらおう」「口コミを書いてくれたら割引します」悪気なくやってしまいがちですが、ここには2つのルールが関わります。

ステマ規制(景品表示法)

ステマ(ステルスマーケティング)とは、広告であることを隠した宣伝のことです。消費者庁によると、2023年10月1日から、ステマは景品表示法の違反になりました。SNSの投稿や口コミの投稿も対象です。規制の対象になるのは商品やサービスを売る事業者(広告主)で、頼まれて投稿した人ではありません。

消費者庁の運用基準では、第三者に頼んで自社の商品のことを書いてもらう投稿は、見た目は第三者でも「事業者の表示」にあたります。役員や担当のスタッフが、販売を進めるために投稿する場合も同じです。

実際に、2024年6月には、東京都の内科クリニックを運営する医療法人に、ステマ規制で初めての措置命令が出ました。インフルエンザの予防接種に来た人に、Googleマップの口コミで星5つか星4つを付けることを条件に、接種の費用を割り引いていたというものです。

Googleマップの口コミのポリシー

Googleのポリシーでも、見返りのある口コミや、従業員など利害関係のある人の口コミは禁止です。一方で、見返りなしに、実際のお客様に「よければ口コミを」とお願いすることは認められています。口コミの規約の詳しい内容は、「Googleマップが勝手に英語に?」の記事の後半でも紹介しています。

会社自身のアカウントやホームページでの宣伝は、会社の発信だと分かるので、ステマ規制の対象にはなりません。注意したいのは、会社が頼んだ投稿が、お客様や知り合いの個人のSNSに載る場合です。人に頼む投稿は、「PR」「広告」などの表示で、広告だと分かるようにしましょう。

04写真や動画の「写り込み」で気をつけることは?

お店の様子やイベントの写真に、お客様の顔や、通りがかった人がはっきり写っている。これも苦情や炎上のきっかけになりえます。最高裁は2005年の判決で、人はみだりに自分の顔や姿を撮影されないことについて、法律で守られるべき利益を持つとしています。

違法になるかどうかは、撮った場所や目的、写り方などをあわせて判断されるので、一律には言えません。迷うときは、写っている人に了解をもらうか、顔が分からないように撮り直すのが安心です。

顔のほかにも、気をつけたいものがあります。

社員を動画に出すときも、どこに、どのくらいの期間載せるかを伝えて、了解をもらっておきましょう(「社員を動画に出すときの同意書」)。

05A4で1枚の社内ルールの見本

分厚いマニュアルは、小さな会社では読まれません。A4で1枚に収まる量にして、休憩室に貼ったり、入社のときに渡したりしましょう。見本を自社に合わせて書き換えてください。

項目決めること(見本)
目的お客様に、店の様子と新しいお知らせを届ける
担当投稿は◯◯さん。迷ったら社長に相談する
投稿の前にお客様の顔、書類、車のナンバーが写っていないか見る
載せないものお客様の情報、取引先の名前、悪ふざけ、他社の悪口
口コミへの返信お礼から書く。個人が分かることは書かない。腹が立ったら一晩おく
口コミのお願い見返り(割引・プレゼント)を付けない。知り合いや社員に頼まない
PRの表示人に頼んで投稿してもらうときは「PR」と書いてもらう
個人のアカウント勤務中の店内・厨房・作業場の撮影は、許可なくしない
困ったとき消さずに、すぐ社長に連絡。返信や謝罪は一人で決めない

大事なのは、「困ったときは、一人で決めずに連絡する」の一行です。一人で慌てて投稿を消したり謝ったりすると、かえって広がることがあります。ルールは半年に一度くらい見直しましょう。

06炎上したときの最初の対応

それでも炎上してしまったら、慌てずに、次の順番で動きましょう。

1. 記録を残す

問題の投稿やコメントを、日時が分かるようにスクリーンショットで残します。事実を確かめたり、専門家に相談したりするときの材料になります。

2. 事実を確かめる

いつ、誰が、何をしたのか。関わったスタッフにも話を聞きます。スタッフの名前や顔を、会社から出すことは避けましょう。

3. 説明なしに消さない

何の説明もなく消すと「隠した」と受け取られることがあります。消すかどうか、どう説明するかは、事実を確かめてから決めます。

4. お知らせを出す

非があるときは、何があったのか、どう対応し、どう防ぐのかを短く伝えます。言い訳が長いお知らせは、逆効果になりやすいものです。

5. 専門家に相談する

事実でない書き込みや、ひどい中傷が続くときは、弁護士に相談しましょう。総務省の委託事業である「違法・有害情報相談センター」でも、削除の方法などの相談を受け付けています。

落ち着いたら、なぜ起きたのかを振り返り、社内のルールを見直しましょう。スタッフを責めて終わりにするのではなく、「次に同じことが起きないために、何を決めておくか」を全員で話し合うことが、再発防止につながります。

07よくあるご質問

Qスタッフの個人のアカウントまで、会社が決めていいのですか?
A

個人のアカウントの使い方をすべて会社が決めることはできません。ただ、勤務中の撮影や、店の情報・お客様の情報の扱いは、仕事のルールとして決めておけます。どこまで決めるかは、就業規則とあわせて社会保険労務士などの専門家に相談すると安心です。

Qお客様に口コミをお願いするのは、だめなのですか?
A

見返りを付けずに、実際に利用してくれたお客様に「よければ口コミを」とお願いすることは、Googleのポリシーでも認められています。割引やプレゼントと引き換えにする、星の数を指定する、よい口コミだけを頼む、といったやり方は避けましょう。

Q厳しい口コミは、削除してもらえますか?
A

内容が厳しいというだけでは、削除の対象にはなりにくいものです。Googleのポリシーに反する内容(事実でない嫌がらせなど)であれば、報告することができます。まずは落ち着いて返信し、ほかのお客様が読んだときに安心できる対応を心がけましょう。

QSNSの運用や社内のルールづくりを、ホマレグラフ株式会社に相談できますか?
A

はい。投稿の企画や撮影、運用の代行に加えて、少人数でも続けられる投稿のルールづくりもご相談いただけます。法律の判断が必要なことは、専門家への相談もおすすめしています。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

炎上は、会社の規模に関係なく起きています。きっかけになりやすいのは、スタッフの悪ふざけ動画、口コミへの返信、知り合いに頼んだ口コミ、写り込みの4つです。A4で1枚のルールを作り、「困ったときは一人で決めずに連絡する」を全員で共有しておきましょう。法律の判断が必要なときは、専門家に相談してください。

参考:シエンプレ株式会社・デジタル・クライシス総合研究所 8月の炎上分析データ(調査期間2026年8月1日〜31日、2026年10月1日発表)/山梨県 令和3年経済センサス-活動調査(確報)産業横断的集計 山梨県の結果の概要/消費者庁 ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制/消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(2023年3月28日)/消費者庁 医療法人社団祐真会に対する措置命令(2024年6月7日)/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」/裁判所 最高裁判所第一小法廷 平成17年11月10日判決/違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)(いずれも2026年10月に確認)

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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