富士山でドローン撮影はできる?
禁止と言われる理由と、山梨での確認ポイント

会社のPR動画を作るとき、「富士山をドローンで撮りたい」と考える方もいるでしょう。一方で「富士山はドローン禁止」という話も目にします。本当に飛ばせないのでしょうか。この記事では、国や山梨県、市町村の公式情報をもとに、禁止と言われる理由と、飛ばす前に確かめる順番、人気の撮影地のルールを整理しました。
※ドローンのルールは改正が多いため、この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。実際に飛ばす前には、各機関の最新の情報をご確認ください。
01「富士山はドローン禁止」は本当?
「富士山はドローン禁止」という話は、どこから来ているのでしょうか。きっかけの一つと考えられるのが、静岡県の富士山世界遺産課の呼びかけです。2016年8月に、山頂や登山道でドローンを飛ばす登山者がいるとして、富士山でのドローンなどの使用を控えるよう呼びかけました。
理由は、山頂付近は風が強く、操縦する人やほかの登山者の命に関わる事故が起きかねないためです。この呼びかけでは、同じ年の7月29日に、山頂の剣ヶ峰に向かう登山者の列のそばへドローンが落ちた例も紹介されています。
では、これは法律での禁止なのでしょうか。それとも、お願いなのでしょうか。禁止と言われる理由を、ひとつずつ見ていきましょう。
02「富士山はドローン禁止」と言われる3つの理由
1. 山の上は風が強く、登山者がいる
富士山の山頂付近は、非常に強い風が吹くことがある場所です。夏の登山シーズンには多くの登山者が行き交います。墜落すれば、人に当たる危険があります。
2. 山頂は浅間大社の境内。土地の管理者の了解が必要
ドローンを飛ばすには、空のルールとは別に、離着陸する土地の持ち主や管理者の了解が必要です。富士山の8合目より上は、富士山本宮浅間大社の境内です。飛ばす前には、土地の管理者への確認が欠かせません。
3. 国立公園として、自然や利用者への配慮が求められる
富士山は富士箱根伊豆国立公園の一部です。環境省の通知では、国立公園でドローンを飛ばすこと自体に、自然公園法の許可や届出は必要ないと整理されています。
ただし、特別地域などでは、著しい騒音などでほかの利用者に迷惑をかけることが禁じられていて(自然公園法第37条)、野生の生き物への配慮も求められています。また、ドローンの発着場などの設備を置く場合は、許可や届出が必要になります。「許可がいらない」ことと「自由に飛ばしてよい」ことは違うという点に注意しましょう。
03飛ばせるかどうかは、4つの段階で確かめる
富士山の周辺に限らず、ドローンを飛ばせるかどうかは、次の4つの段階で確かめると整理しやすくなります。
気をつけたいのは、国の許可が取れても、それだけでは飛ばせないことです。国のルール(空のルール)と、土地の管理者のルール(地上のルール)は別のもので、両方を満たす必要があります。
ここまでをまとめると、富士山全体でドローンを飛ばすことを、法律で一律に禁止する決まりは見当たりません。「禁止」の中身は、安全のためのお願いや、土地の管理者のルールが中心です。ただし、法律で禁止されている区域もあります。次の章から、国のルールと、気をつけたい場所を見ていきます。
04国のルール(航空法)で気をつけたいこと

国土交通省によると、重さ100g以上のドローンは、国への登録が必要です。そのうえで、空港の周辺、地表や水面から150m以上の高さ、人口集中地区(家やお店が集まる地域)の上空などで飛ばすには、国の許可が必要です。
また、夜間や目で見ずに飛ばす場合、関係者以外の人や他人の建物などから30m未満で飛ばす場合などには、国の承認が必要です。許可や承認の申請は、飛ばす日の10開庁日前(役所が開いている日で数えて10日前。土日祝などは数えない)までに、国土交通省の「DIPS2.0」などで行います。
山では「150m」に注意
150mの基準は、離陸した場所からではなく、真下の地表からの高さです。山の斜面から谷に向かってまっすぐ飛ばすと、離陸した場所からは同じ高さでも、真下の地面からは150mを超えてしまうことがあります。富士山の周辺のように起伏のある場所では、特に気をつけたい点です。
052026年7月から変わった、北富士演習場の周辺
富士山の北側で空撮を考えるときに、必ず知っておきたいのが、陸上自衛隊の北富士演習場と北富士駐屯地です。この2つの施設は、小型無人機等飛行禁止法の対象で、施設の上空と、その周りの上空での飛行が原則として禁止されています。
北富士演習場は2025年4月11日に、新たに対象として指定されました。さらに2026年7月14日に改正法が施行され、施設の周りで禁止される範囲が、おおむね300mから、おおむね1,000mに広がりました。
施設の上空で違反すると1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、周りの地域で違反すると6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
施設の管理者の同意を得て例外的に飛ばす場合も、48時間前までに通報が必要です。通報は警察だけではありません。富士吉田警察署を通じた通報と、施設の管理者への通報の2つを、別々に行います。
インターネット上には、まだ「300m」と書かれた古い記事も残っています。富士吉田市や忍野村、山中湖村の周辺で飛ばす場合は、防衛省や警察庁が公表している対象の範囲を、必ず最新の情報で確認しましょう。
06富士五湖や公園など、人気の撮影地のルール

富士山がきれいに見える富士五湖の周辺(湖のほとり)も、場所によってルールが異なります。公式に確認できた主なものをまとめました。
同じ湖のほとりでも、趣味で撮るのか、会社の宣伝のために撮るのかで、必要な手続きが変わる点がポイントです。会社のPR動画は「商業撮影」にあたるため、届出が必要になる場面が増えます。また、ここで紹介したのは、土地を管理する町や県などのルールです。国の航空法の許可や承認が必要かどうかは、別に確かめる必要があります。
富士河口湖町の都市公園は、河口湖総合公園・大石公園・八木崎公園など9か所あり、どこも飛ばせません。新倉山浅間公園(忠霊塔)や忍野八海など、ほかの人気の撮影地でも、管理者によって扱いが異なります。事前に管理者や市町村に確認しましょう。
07会社のPR動画で空撮をするなら
会社のPR動画や観光の紹介映像で、富士山を背景に空撮をしたい場合は、次のような流れで準備を進めます。
- 撮りたい景色と場所を決める:富士山がどの角度で、どの季節に見えるか。候補の場所をいくつか挙げる。冬は空気が澄み、朝は富士山がくっきり見えやすくなります。そのぶん湖のほとりは風が冷たく、電池の減りも早くなります。
- 4つの段階で確認する:国のルール、重要施設の周辺、土地の管理者、地元の同意を順に確かめる。
- 相談窓口を活用する:山梨県には「富士の国やまなしフィルム・コミッション」、山中湖村には「山中湖フィルムコミッション」があり、撮影の相談ができます。
- 日程に余裕を持つ:国の申請は10開庁日前まで、湖のほとりの届出・許可は7〜10日前まで、国有林の入林届は5業務日前まで。国土交通省も、書類の直しに備えて3〜4週間ほどの余裕を持つよう案内しています。天候で延期になることも考え、早めに準備を始める。
ドローン撮影の費用は、人数や時間、機材、編集に加えて、こうした確認や申請の手間でも変わります。同じ「富士山の空撮」でも、どこで、どう飛ばすかで手続きの重さが変わり、費用に差が出ます。
業種別に見ると
空から何を撮り、どこを確かめるかは、業種によって変わります。山梨に多い業種を例に挙げます。
08よくあるご質問
Q富士山の山頂からドローンを飛ばせますか?
おすすめできません。静岡県は2016年に、安全のために富士山でのドローンなどの使用を控えるよう呼びかけています。また、8合目より上は浅間大社の境内のため、土地の管理者の了解も必要です。富士山を撮るなら、麓や湖のほとりなど、ルールを確認できる場所から撮るのが現実的です。
Q100g未満のドローンなら、どこでも飛ばせますか?
いいえ。100g未満の機体は国への登録の対象外ですが、重要施設の周辺などでは重さに関係なく禁止されています。空港の周辺や地表から150m以上の高さなど、100g未満でも航空法の規制を受ける場合もあります。富士河口湖町の都市公園のように、200g未満の機体も含めて禁止している場所もあります。
Q河口湖のほとりで、会社のPR動画を空撮できますか?
場所によります。湖のほとりでの商業撮影は、内容によって山梨県への届出や許可が必要です。富士河口湖町の都市公園(大石公園、八木崎公園など)では飛ばせません。撮りたい場所をお聞きしたうえで、必要な手続きを確認します。
Qドローンの撮影だけを頼むこともできますか?
はい。ほかの撮影と組み合わせることも、ドローンの撮影だけをお任せいただくこともできます。ご相談・お見積もりは無料です。
「富士山はドローン禁止」の中身は、法律による一律の禁止ではなく、安全のお願いと土地のルールが中心です。山頂・登山道は「使わない」が基本。北富士演習場などの周辺は、2026年7月からおおむね1,000mまで飛行禁止です。湖のほとりや公園は管理者ごとにルールが違います。国と土地の両方のルールを確かめ、余裕を持って計画しましょう。
参考:富士山NET 静岡県富士山世界遺産課のお知らせ(2016年8月)/環境省 国立公園でのドローン利用に関する通知(令和3年3月26日、奈良県掲載資料)/観光庁 多言語解説文データベース「富士山本宮浅間大社」/国土交通省 無人航空機の安全な飛行のためのガイドライン(令和8年9月29日)/国土交通省 無人航空機の飛行許可・承認手続/国土交通省 無人航空機登録ポータルサイト/警察庁 小型無人機等飛行禁止法/警察庁 通報手続の概要/山梨県警察 小型無人機等飛行禁止法について/富士吉田市 北富士演習場の指定について/富士河口湖町 都市公園でのドローン/山梨県 河川区域でのロケ・撮影/山中湖フィルムコミッション ドローン撮影/関東森林管理局 国有林での無人航空機の飛行
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
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