インバウンド読了 約10分

飲食店のインバウンド対策。
外国人のお客さんに選ばれる準備

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 8件を記事の最後に掲載
ラーメン

「外国人のお客さんが増えてきたけれど、言葉が通じなくて不安」「英語のメニューを作りたいけれど、何から手をつければいいか分からない」そんなお悩みはありませんか。この記事では、観光庁の調査をもとに、外国人のお客さんが見ていること・困っていることを整理し、メニュー、表示、会話、支払いの準備を順にお伝えします。

01外国人のお客さんは、何を見てお店を選ぶ?

観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年)によると、日本を訪れた外国人のうち、日本食を食べた人は98.2%で、そのうち95.2%が「満足した」と答えています。日本の食事は、外国人観光客にとって旅の大きな楽しみです。

旅行中に役立った情報は、交通手段に次いで飲食店でした。外国人観光客は、旅行中も飲食店の情報を頼りにしています。旅行の前によく見られている情報源は「外国人向けショート動画の作り方」で紹介しています。

つまり、外国人のお客さんに選ばれるには、まずスマホで調べたときに、どんなお店か分かることが大切です。Googleマップに料理や店内の写真をたくさん載せたり、看板メニューの短い動画をSNSに出したりする方法があります。言葉が分からなくても「おいしそう」「入ってみたい」と伝わる写真や動画は、外国人のお客さんにとって何よりの案内になります。

02外国人のお客さんは、どこで困っている?

同じ調査で、2025年に山梨を訪れた外国人の約6割(60.3%)は、日本に来たのが初めての人でした(くわしくは「山梨のインバウンド集客」)。

初めての人は、食券の買い方や注文の仕方、支払いのタイミングなど、日本の飲食店の仕組みに慣れていないことがあります。観光庁の別の調査(令和7年度)で旅行中に困ったことを聞くと、次のような答えが挙がりました。

ごみ箱の少なさに次いで多かったのが、施設のスタッフとのコミュニケーション(15.4%)です。これに困った人に場所を聞くと、飲食店が38%で最も多く挙がりました。多言語の表示(10.9%)や、クレジット・デビットカードの利用(10.7%)も上位です。

多言語の表示で困った場所は、地方だけを訪れた人では飲食店が最も多く挙がりました。カードの利用で困った場所も、都市部・地方ともに飲食店が最多です。山梨のような地方のお店ほど、メニューや店内の表示を整えておく意味があります。

一方で、43.7%の人は「困ったことはなかった」と答えています。困りごとの多くは、準備で減らせるものです。よくつまずくところを先回りして整えておくことが、外国人のお客さんの安心につながります。

03英語のメニューの作り方

表示の準備で、まず取りかかりたいのが英語のメニューです。注文という、いちばん会話が必要な場面を助けてくれます。作るときのポイントをまとめました。

1. すべての料理に、写真と番号を

写真があれば、言葉が分からなくても料理が分かります。さらに番号を付けておくと、「No.3, please」と指差しや番号で注文できるので、お客さんもスタッフも安心です。

写真は、実際の器と量で、真上と斜めの2通りを撮っておくと、メニュー・Googleマップ・SNSで使い分けられます。

2. 料理名は「ローマ字+説明」で

「Hoto」とだけ書いても、外国人には何の料理か分かりません。

「Hoto(Yamanashi's thick flat noodles simmered in miso soup with vegetables)」のように、日本語の読みをローマ字で書き、その後ろに短い説明を付けるのがおすすめです。料理名を覚えてもらいやすくなり、SNSで紹介されるときにも、その名前で伝わります。

3. 何が入っているか、どう食べるか

肉の種類(豚・牛・鶏)、魚介、卵、乳など、主な材料を書いておくと、食べられないものがある人も選びやすくなります。つけ麺や鍋のように食べ方が分かりにくい料理は、食べ方の説明を一言添えましょう。

4. 自動翻訳は、そのまま使わない

翻訳アプリは便利ですが、料理名をそのまま直訳すると、意味の通じない英語や、誤解を招く表現になることがあります。観光庁の「多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(2014年)には、案内表示の英語の対訳例がまとめられています。できれば、英語の分かる人に一度確認してもらいましょう。

業態別に見ると

英語のメニューで工夫したいところも、業態によって変わります。山梨でよく見かける業態で、考え方の例をまとめました。

ラーメン店たとえばラーメン店なら、券売機の使い方が外国人のお客さんの最初の壁になります。券売機の横に、ボタンの写真と番号、英語の一言を並べた案内を貼っておくと、迷わずに注文できます。スープの種類(豚骨、醤油、味噌など)や、豚肉を使っているかどうかも書いておきましょう。
ほうとう・郷土料理店たとえばほうとうのお店なら、「どんな料理か」「1人前の量はどれくらいか」「熱い鍋で出てくること」を写真で伝えると安心してもらえます。ベジタリアンの方向けに、だしに何を使っているかも書いておくと親切です。

04アレルギー・宗教・ベジタリアンへの伝え方

外国人のお客さんの中には、アレルギーや宗教、考え方の理由で、食べられないものがある人もいます。対応できるかどうかより、何が入っているかを正直に伝えることが大切です。

  • アレルギー:お店で出す料理の表示は任意ですが、書くなら正確に。「同じ調理器具を使っているので、混入の可能性があります」といった注意も添えましょう。容器に詰めて売るお土産品などは表示が義務になることがあるので、迷うときは保健所に確かめましょう。
  • 宗教(ムスリムの方など):認証を受けていないのに「HALAL」と書いたり、認証のマークを使ったりするのは避けましょう。「No pork(豚肉は使っていません)」のように、事実をそのまま伝えます。みりんや、一部の醤油・味噌にはアルコールが含まれるので、使っている場合は「No alcohol」とは書けません。
  • ベジタリアン・ヴィーガン:だしに魚や肉を使っているかどうかは、見た目では分かりません。だしの材料まで書いておくと親切です。

観光庁のおもてなしガイドも、厳しく対応しているかどうかより、対応している内容をはっきり示すことが大切だとしています。豚肉を使っているか、専用の調理器具があるかなどを書いておけば、お客さんが自分で判断できます。

05会話の不安を減らす道具

英語が話せなくても、道具を使えば、会話の不安は減らせます。

指差しシートは、「何名様ですか」「現金のみです」のようなやりとりを並べた表です。自治体が作った見本も参考になります。観光庁は、「食べながら歩かないで」のようなマナーを伝えるピクトグラムを、無料でダウンロードできる形で公開しています。

06支払いと、価格の見せ方

支払いも、外国人のお客さんがつまずきやすいところです。観光庁の調査(2025年)で、日本の旅行中に使った支払い方法を見ると、次のとおりです。

現金だけのお店は、そのことを入口とメニューにはっきり書いておくと、会計のときのトラブルを防げます。カードやモバイル決済に対応しているなら、使えるブランドのマークを見える場所に出しましょう。

価格の見せ方にも注意が必要です。

  • 税込の価格で表示する:消費税を含めた総額で表示するルールは、英語のメニューでも同じです。
  • 英語のメニューにだけ別の価格を書かない:外国人向けのメニューにだけ高い価格を載せ、そのことを伝えないと、トラブルや誤解のもとになります。価格を分けるなら、どの言語のメニューにもすべての価格と、その理由(たとえば地元の人向けの割引)を載せましょう。
  • お通しや席料は先に伝える:日本独特のお通しや席料は、知らない人には「頼んでいない料金」に見えます。メニューに英語で書いておきましょう。

07よくあるご質問

Q英語以外のメニューも必要ですか?
A

まずは英語と写真から始めましょう。観光庁の調査(2025年)では、山梨を訪れた外国人は中国(28.6%)と台湾(9.5%)が多く、アメリカ、タイが続きます。余裕があれば、中国語(簡体字・繁体字)を加えるとよいでしょう。来ているお客さんの国・地域に合わせて、少しずつ増やしていきましょう。

Q外国人のお客さんが増えると、常連さんが離れませんか?
A

心配な場合は、予約の取り方や席の分け方、混む時間帯の案内などを工夫しましょう。英語のメニューや写真は、日本人の初めてのお客さんにとっても分かりやすいものです。常連さんへの声かけも、これまでどおり大切にしてください。

Q英語のメニュー作りに使える補助金はありますか?
A

小規模事業者持続化補助金のように、販路を広げるための費用が対象になる制度があります。対象になる経費や募集の時期は回ごとに変わるので、商工会・商工会議所や、各制度の公式の案内で最新の情報を確認してください。

Qメニュー用の料理の写真や、紹介動画の撮影を頼めますか?
A

はい。メニューやGoogleマップ、SNSに使える料理の写真や、言葉がなくても伝わる短い動画の撮影を承ります。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

外国人観光客は日本の食事を楽しみにしていて、旅行中も飲食店の情報を頼りにしています。写真と番号つきの英語のメニュー、材料の正直な表示、指差しシートやピクトグラム、支払いと価格の分かりやすい表示で、言葉の不安を先回りして減らしましょう。そのうえで、写真や動画で「おいしそう」を伝えることが近道です。

参考:観光庁 インバウンド消費動向調査(2025年 確報、Excelファイル)/観光庁 訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート(令和7年度)/観光庁 多言語対応の改善・強化のためのガイドライン/観光庁 ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド/観光庁 観光客向けピクトグラム/消費者庁 加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和8年4月)/消費者庁 食品表示基準Q&A(弁当・惣菜に係る表示)/財務省 総額表示の義務付け

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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