飲食店の集客読了 約10分

飲食店の閑散期はいつ?
山梨の店が月ごとにできる対策

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 12件を記事の最後に掲載
客のいない静かな和風の店内とテーブル席

飲食店では昔から「ニッパチ(2月と8月)は暇」と言われます。でも、それは本当に、どのお店にもあてはまるのでしょうか。この記事では、家計や山梨の観光の統計をもとに、自分のお店の閑散期の見つけ方と、月ごとにできる対策を順に整理します。冬の閑散期に備えるなら、準備は秋のうちに始めておきたいところです。

01飲食店の閑散期はいつ?「ニッパチ」は本当か

まず、家庭が1年のうち、どの月に外食にお金を使っているのかを見てみましょう。総務省の家計調査(2025年、二人以上の世帯)の、月ごとの外食の支出です。

いちばん少ないのは2月(13,937円)で、いちばん多いのは8月(20,709円)でした。2月が少ないのは、日数が少ないことも理由の一つです。1日あたりに直すと、2月は1月や4月とほとんど変わりません。一方の8月は、夏休みやお盆の帰省と重なる月です。2024年も、少ないのは2月、多いのは8月でした。

ただし、お酒を飲む「飲酒代」だけを見ると、いちばん多いのは忘年会のある12月で、少ないのは6月と2月でした。家族の外食と、宴会やお酒の外食では、多い月が違うのです。

飲食店ドットコムの調査(2024年7月)では、「ニッパチがあてはまる」が28.5%、「8月だけあてはまる」が18.5%で、合わせて約半数のお店が8月の落ち込みを感じていました。「2月だけあてはまる」も19.2%ありました。

一方で、「全くあてはまらない」というお店も33.7%、8月はむしろ「売上が高くなる」というお店も21.2%あり、お店によって暇な月は違うことが分かります。

02お店の「暇な月」は、何で決まる?

紅葉と富士山

山梨の飲食店の場合、地元のお客さんが中心のお店と、観光客が多いお店とで、暇な月が大きく変わります。

山梨県の観光の統計(2024年)では、観光客がいちばん多いのは8月(343万人)、いちばん少ないのは2月(182万人)で、12月(193万人)も少ない月でした。

宿泊者で見ると差はさらに大きく、2025年の日本人の延べ宿泊者数は、8月の132.7万人に対して、2月は35.1万人と約4分の1です。外国人の宿泊者は、2025年は4月と10月に多く、冬(1〜2月)も月に21〜22万人ほどいました。

河口湖や石和温泉、勝沼など、観光客の多いエリアのお店は、冬(12〜2月)が閑散期になりやすく、8月や5月の連休、秋が忙しくなります。地元のお客さんが中心のお店は、家計の外食が少ない2月が、売上が落ちる月(谷)になりやすいでしょう。会社員の飲み会が中心の居酒屋なら、会社がお盆休みになる8月に落ちることもあります。

03自分のお店の閑散期を見つける方法

統計は全体の傾向です。いちばん確かなのは、自分のお店の数字です。次の手順で、お店の閑散期を確かめましょう。

  • 過去2〜3年の、月ごとの売上と客数を並べる:1年だけだと、天気や出来事の影響が大きいので、複数年で見る。
  • 1日あたりに直す:2月のように日数の少ない月や、定休日の数が違う月は、営業日1日あたりの売上で比べる。
  • 曜日と時間帯でも見る:「月全体」ではなく「平日の夜だけ」が落ちていることもある。
  • お客さんの種類を分ける:地元の常連さん、観光客、宴会など、どのお客さんが減っているのかを考える。

谷になる月と、その理由が分かれば、どのお客さんに、いつ、何を届ければいいかが見えてきます。

04山梨の店が月ごとにできる対策

木箱に入った桃

山梨には、果物の旬や季節の行事など、お店の企画に使える「季節の話題」がたくさんあります。月ごとの対策の一例をまとめました。日程は年によって変わるので、各公式サイトで確認してください。

なかでも大切なのは、落ち込みやすい1〜2月です。12月の忘年会に来てくれたお客さんに、1〜2月にもう一度来てもらうきっかけ(次回使えるお知らせや、LINEへの登録の案内)を渡しておきましょう。季節の温かいメニューや平日の企画は、LINEやSNSで知らせます。

季節の話題は、少し前から発信しておくのがコツです。笛吹市などの桃の花は例年4月上旬〜中旬が見頃で、山梨ヌーボーは毎年11月3日が解禁日です。会社の飲み会が中心のお店は、お盆の落ち込みに備えて、家族向けのメニューや持ち帰りを用意しておくと安心です。

業態別に見ると

閑散期の対策も、業態によって打ち手が変わります。考え方の例をまとめました。

カフェたとえばカフェなら、季節の果物を使ったメニューが、そのまま閑散期の対策になります。山梨ならさくらんぼ、桃、ぶどうと、季節ごとに旬が変わります。旬の始まりに合わせて写真や動画を撮り、少し前から知らせるのがおすすめです。
ほうとう・郷土料理店たとえば観光地のほうとう店なら、冬は観光客が減る一方で、温かい料理が恋しくなる季節でもあります。地元の人に向けて平日の企画を知らせたり、冬も訪れる外国人の観光客に向けて英語のメニューを用意したりと、冬ならではのお客さんを迎える工夫ができます。

05閑散期の「前」と「最中」にやっておきたいこと

竹かごの器に盛り付けた刺身と貝、大葉の盛り合わせ

閑散期に入る前:谷の月の2〜4週間前から知らせる

閑散期の対策は、暇になってから始めても間に合いません。谷になる月の2〜4週間前から、限定メニューや企画を知らせ始めましょう。LINE公式アカウントは、友だちになってくれた人にお知らせを直接届けられるので、常連のお客さんへの案内に向いています(使い方は「LINE公式アカウントの使い方」で紹介しています)。

新しいお客さんに広く知ってもらいたいときは、地域を絞った広告も選択肢です。地元のお客さんにはお店の周りの市町村に、観光客には首都圏など住んでいる地域に、時期を決めて配信します。配信する地域の決め方は「TVer広告は地域指定できる?」で紹介しています。

閑散期の最中:次の繁忙期の準備をする

お客さんが少ない時期は、普段できないことに時間を使えるチャンスでもあります。

  • メニューの見直し:よく出るもの、出ないもの、原価が上がったものを整理する。
  • 写真と動画の撮り直し:Googleマップ、ホームページ、SNSに載せる写真や動画を、季節に合わせて新しくする。旬の果物は、出始めの1〜2週間に撮っておくと、次の年に少し前から知らせる素材になります。
  • スタッフの教育:新しいメニューや接客の練習、忙しい時期に向けた段取りの確認。
  • お客さんの声を集める:口コミやアンケートを読み返し、直せるところを直す。

06閑散期の企画で気をつけたいこと

お客さんを呼ぶための企画でも、表示のルールには注意が必要です。

  • 「通常価格◯円→特別価格◯円」の書き方:比べる「通常価格」は、最近の一定の期間、実際にその値段で売っていた実績が必要です(目安は、セール前の8週間のうち半分を超える期間)。実績のない値段と比べると、景品表示法の不当表示になるおそれがあります。
  • 「期間限定」を延ばし続けない:「今月だけ」と書いて何度も延長すると、お客さんに誤解を与えます。
  • 招待した人の投稿には「PR」を:広告であることが分かるようにします。詳しくは「小さな会社のSNS炎上対策」で紹介しています。
  • 景品には上限がある:来店した人全員に渡す景品は、1,000円未満の取引なら200円まで、1,000円以上なら取引額の2割まで。抽選の景品は、5,000円未満の取引ならその20倍まで、などと景品表示法で上限が決められています。企画の前に、消費者庁の案内を確認しましょう。

07よくあるご質問

Q閑散期は、値下げをしたほうがいいですか?
A

値下げは、利益が減るうえに、元の値段に戻しにくくなることがあります。まずは、季節の限定メニューや、平日だけの企画など、「今行く理由」を作る方法から考えるのがおすすめです。

Q閑散期は、思い切って休んだほうがいいですか?
A

過去の売上と、営業にかかる費用(人件費や光熱費など)を比べて判断しましょう。観光地のお店では、冬に休業日を増やして、その間にメニューの開発や改装をするところもあります。休む場合は、Googleマップやホームページの営業時間を必ず更新しておきましょう。

Q閑散期の広告は、いつから出せばいいですか?
A

谷になる月の2〜4週間前から知らせ始めるのが目安です。暇になってから慌てて出すより、前もって予定を立てておくと、内容や配信する地域をじっくり考えられます。

Q季節のメニューの写真や動画の撮影を頼めますか?
A

はい。季節ごとのメニューの写真や、SNS・Googleマップに使える短い動画の撮影を承ります。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

家計の外食は2月が最も少なく、8月が最も多い月です。お店の閑散期は、地元のお客さん、観光客、宴会など、どんなお客さんが多いかで変わります。まずは過去の売上を1日あたりで並べ、自分のお店の谷を見つけましょう。そのうえで、山梨の旬や行事を企画に生かし、谷の2〜4週間前から知らせ始めます。

参考:総務省 家計調査(品目分類 支出金額・月別、2025年1月〜)/総務省 家計調査(2024年 月別、Excelファイル)/山梨県 令和6年観光入込客統計調査報告書/山梨県 宿泊旅行統計調査結果(2025年)/飲食店ドットコム ニッパチに関する調査(2024年7月、421人)/富士の国やまなし観光ネット 山梨のフルーツ/富士の国やまなし観光ネット 笛吹桃源郷(春日居町)/富士の国やまなし観光ネット 信玄公祭り/山梨県 山梨のワイン/消費者庁 景品表示法/消費者庁 不当な価格表示についての景品表示法上の考え方/消費者庁 景品規制の概要

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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