飲食店のアルバイトが集まらない理由と、
応募が来る求人の出し方

「求人を出しても、応募が来ない」そんなとき、時給を上げるしかないのでしょうか。この記事では、国や山梨県の統計と、アルバイトをしている人への調査をもとに、集まりにくい理由を整理しました。そのうえで、応募が来る求人の出し方と、長く働いてもらう工夫をまとめています。
01飲食店のアルバイトが集まりにくい理由
まず、飲食店の仕事が、ほかの仕事と比べてどれくらい人を集めにくいのかを数字で見てみましょう。
厚生労働省の統計(2026年8月、全国、パートを含む)では、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」が、仕事全体では1.06倍でした。これに対して、接客・給仕の仕事は2.31倍、調理の仕事は2.21倍と、2倍以上です。働きたい人1人を、2つ以上のお店や会社で取り合っている計算になります。
企業への調査でも同じ傾向が見えます。帝国データバンクの調査(2026年7月)では、パート・アルバイトなどの非正社員が足りないと感じている企業の割合を業種別に見ると、「飲食店」が57.7%で最も高くなっていました。
飲食店のアルバイトが集まりにくい理由としては、次のようなことが考えられます。
- 求人の数が多い:近くのお店や、ほかの業種と、同じ人を取り合っている。
- 「大変そう」と思われやすい:マイナビの調査(2026年)では、これまでで最もきつかったアルバイトとして「飲食・フード(接客・調理)」が上位に挙がっている。
- シフトの不安:土日や夜に入れないと採用されないのでは、と思われやすい。
- 求人の中身が伝わらない:「誰でも歓迎」「アットホーム」だけでは、働く姿が想像できない。
02山梨の飲食店ならではの事情
山梨は、全国と比べても、働く人を集めにくい状況にあります。
山梨の有効求人倍率は1.50倍(2026年8月、季節調整値。全国は1.18倍)で、全国より求人の多い状態が続いています。
また、アルバイトの大切な担い手である高校生(全日制・定時制)は、2026年度に20,434人で、2021年度の22,717人から約1割減りました。
さらに、山梨県の最低賃金は、2026年11月1日に1,052円から1,113円へ引き上げられました。最低賃金は、今働いている人にも適用されます。どのお店も時給を上げることになるため、時給だけで差をつけるのは、ますます難しくなっています。
地方の飲食店では、「探している人に見つけてもらう」だけでなく、「まだ探していない近所の人に知ってもらう」ことが大切になります。
03応募する人は、何を見て店を選んでいるか
では、アルバイトを探す人は、何を見てお店を選んでいるのでしょうか。マイナビの調査(2026年)では、アルバイトを探すときの必須条件として、次のような答えが上位に挙がりました。
いちばん多いのは「自宅から近い」(45.7%)で、「シフトの融通がきく」(43.3%)が続きます。「給与が高い」は25.8%でした。時給はもちろん大切ですが、それ以上に、通いやすさと、自分の予定に合わせて働けるかが重視されています。
また、同じ調査で、実際に働く先を決めた理由を聞くと、1位は「応募後すぐに連絡がきた」(39.9%)でした。求人の中身だけでなく、応募してからの対応の早さも、選ばれるかどうかを左右しています。
04応募が来る求人の出し方7つ
ここからは、応募が来る求人の出し方を7つ紹介します。
1. 来てほしい人の姿を、一人に絞る
「誰でも歓迎」の求人は、裏を返せば、誰に向けた求人なのかが分かりません。「授業のあとに週2回働きたい高校生」「子どもが学校にいる昼間だけ働きたい方」のように、来てほしい人の姿を具体的に絞ると、書くべきこと(時間帯、仕事の内容、続けやすさ)が自然に決まります。
2. 時給と条件を、正確に・最新に
出している求人の時給が、山梨県の最低賃金(2026年11月1日から1,113円)を下回っていないか確かめましょう。古い時給のままの求人が残っていると、条件が見劣りするだけでなく、信用も損ないます。時給、交通費、まかない、制服の貸し出しなど、条件は正確に、最新の内容にしておきましょう。
3. シフトの例を、具体的に見せる
「シフト応相談」だけでは、どこまで相談できるのかが分かりません。「平日の11時〜14時だけ」「週1日・3時間からOK」「テスト期間はお休みOK」のように、実際に働いている人のシフトの例を書くと、応募する人が自分の生活に当てはめて考えられます。
4. 写真は「働く場所」を見せる
アイデムの調査(2022年、求人に応募した260人が回答)では、求人で見たい写真として最も多かったのは「職場環境」でした。キッチンやホール、休憩スペースなど、実際に働く場所の写真を載せましょう。暗い写真や、イメージ写真だけでは、雰囲気が伝わりません。
5. 動画で「仕事の中身」と「働く人」を見せる
同じ調査で、見たい動画として多かったのは「仕事内容」と「従業員の働く様子」でした。仕事の流れや先輩の話し方、お店の空気など、写真では伝わりにくいことも、短い動画なら伝わりやすくなります。撮影は、仕込みなど比較的落ち着いた時間帯を選ぶと、お店の負担を抑えられます。
スマホで見やすい縦の動画で、1日の流れ、まかない、先輩のひと言などを紹介すると、「ここなら自分も働けそう」と感じてもらいやすくなります。実際にどんな人が働いているかが見えると、応募する人の安心にもつながります。撮り方のくわしいことは「採用動画の作り方」で紹介しています。
6. 応募が来たら、その日のうちに連絡する
先ほどの調査のとおり、働く先を決めた理由の1位は「応募後すぐに連絡がきた」でした。返事を待つあいだに、ほかのお店に決まってしまうこともあります。連絡は、できればその日のうちに。
営業中で手が離せない場合は、「明日の◯時に改めてお電話します」と一言だけでも先に返しておきましょう。同じ調査では、探し始めてから採用が決まるまで「1週間未満」という人が35.4%で、最も多くなっていました。
7. 近所の人に「募集していること」を知ってもらう
「自宅から近い」がアルバイト探しの必須条件の1位であることを考えると、お店の近くに住んでいる人に、募集していることを知ってもらうことがとても大切です。
店頭の張り紙、レジ横のお知らせ、お店のSNSやGoogleマップの投稿、常連のお客さんへの声かけ、今いるスタッフからの紹介。求人サイトに載せるだけでなく、こうした身近な方法を組み合わせましょう。さらに広く知らせたいときは、SNS広告やTVer広告で、お店の周りの市町村に絞って配信する方法もあります。
業態別に見ると
求人で見せるとよいことも、業態によって変わります。考え方の例をまとめました。
05来てくれた人に、長く働いてもらうために

せっかく来てくれた人がすぐに辞めてしまうと、また一から募集し直すことになります。少し前のものですが、ディップの調査(2019年発表)では、長く働くつもりで始めたアルバイト・パートを辞めた人の42.3%が、1年未満で辞めていました。
辞めた(または辞めようと考えた)理由の1位は、「職場の人間関係」(37.5%)でした。また、長く働き続けるのに影響する制度として最も多く挙がったのは、「働きたい日・時間に自由に出勤できる制度」でした。
長く働いてもらうために、次のことを意識しましょう。
- 面接で、大変なことも正直に伝える:忙しい時間帯や、覚えることの量を、先に伝えておく。入ってからの「こんなはずじゃなかった」を防ぐ。
- 最初の1か月を手厚く:教える人を決め、何をいつまでに覚えればいいかを伝える。
- シフトの希望を聞く:求人に書いた「融通がきく」を、実際に守る。
- 働く人の声を、次の求人に使う:今いるスタッフの「ここが働きやすい」は、いちばん説得力のある求人の材料になる。
06求人を出すときに気をつけたいルール
求人には、法律で決められたルールがあります。応募を増やしたいからといって、事実と違うことを書くのは禁物です。
- うそや、誤解を招く書き方をしない:職業安定法では、実際より高い時給を書くなど、事実と違う表示や誤解を招く表示が禁止されています。求人の情報は、正確で最新の内容に保つ必要があります。
- 働く場所や仕事の「変更の範囲」も示す:2024年4月から、募集のときに示す条件に、働く場所や仕事の内容が将来どこまで変わりうるか(変更の範囲)などが加わりました。
- 最低賃金を下回らない:2026年11月1日以降、山梨県では1,113円を下回る時給で働いてもらうことはできません。
- 高校生や留学生の働き方に注意:18歳未満の人は、原則として夜10時から朝5時までは働けません。留学生のアルバイトは、資格外活動許可を受けたうえで、原則として週28時間まで(夏休みなどの長い休みの間は1日8時間まで)です。詳しくは、労働基準監督署や出入国在留管理庁の案内を確認しましょう。
07よくあるご質問
Q時給を上げないと、応募は来ませんか?
時給は大切ですが、それだけではありません。調査では「自宅から近い」「シフトの融通がきく」が上位で、働く先を決めた理由では「応募後すぐに連絡がきた」が最も多くなっていました。シフトの例や、働く場所の写真、応募への対応の早さでも差をつけられます。
Q求人の動画は、スマホで撮ったものでも大丈夫ですか?
大丈夫です。大切なのは、仕事の流れや働く人の様子が伝わることです。明るい場所で、手ぶれを抑えて撮り、何の場面かが分かる短い字幕を入れると、見やすくなります。
Q求人サイトと店頭の張り紙、どちらがいいですか?
どちらか一つではなく、組み合わせるのがおすすめです。求人サイトは探している人に、店頭の張り紙やSNSは、まだ探していない近所の人やお客さんに届きます。応募のきっかけを面接で聞いておくと、次に力を入れる方法が分かります。
Q求人用の写真や動画の撮影を頼めますか?
はい。お店で働く様子の写真や、求人サイト・SNSに使える短い動画の撮影を承ります。ご相談・お見積もりは無料です。
飲食店は、求人の数が働きたい人の2倍以上あり、人の取り合いになりやすい業種です。時給だけで勝負せず、来てほしい人を一人に絞り、シフトの例、働く場所の写真、仕事が分かる動画を用意しましょう。応募には、その日のうちに連絡を。近所の人に募集を知ってもらい、来てくれた人には長く働いてもらう工夫を重ねましょう。
参考:厚生労働省 一般職業紹介状況(2026年8月分)参考統計表/山梨労働局 労働市場の動き(2026年8月分)/帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)/山梨県 最低賃金/山梨県 令和8年度学校基本調査速報/マイナビ アルバイト就業者調査(2026年)/アイデム 仕事探しに関するアンケート調査(2022年)/ディップ総合研究所 アルバイト・パートスタッフの離職に関するアンケート調査(2019年)/厚生労働省 職業安定法の改正(的確な表示)/厚生労働省 令和6年4月から募集時に明示すべき事項の追加/e-Gov法令検索 労働基準法(第61条 深夜業)/出入国在留管理庁「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。