中小企業のSNS活用方法。
目的別の使い方と、続けるための体制づくり

「SNSをやったほうがいいのは分かっているけれど、何のために、何をすればいいのか分からない」小さな会社やお店では、よくあるお悩みではないでしょうか。この記事では、公的なデータで小さな会社のSNS活用の実態を見たうえで、目的別の使い方、始め方の手順、投稿のコツ、続けるための体制を順にお伝えします。
01SNSを使っている小さな会社は、どれくらい?
中小企業庁の「2025年版 小規模企業白書」によると、SNSを活用している小規模事業者は40.0%でした(2024年11〜12月の調査)。白書では、活用している事業者と、していない事業者の比較も紹介されています。
新規のお客様が「増える」見通しは、活用している事業者が51.9%、していない事業者が29.0%でした。予定の人数を採用できた割合も、活用している事業者のほうが高い結果です。
SNSを始めればお客様が増える、というわけではありません。白書も「示唆される」という書き方です。ただ、活用している会社ほど、結果がよい傾向があることは読み取れます。2026年版の白書でも、SNSを広告などに活用している事業者のほうが、売上高が「増加」と答えた割合が高い結果でした。
02何のためにSNSを使っている?
同じ白書では、SNSを活用している小規模事業者に、その目的をたずねています。
いちばん多いのは「商品やサービスの紹介」で7割を超えます。続いて「お客様とのコミュニケーション」「新しいお客様の開拓」がそれぞれ4割ほどでした。
一方、「採用活動」は11.0%でした。採用にSNSを使っている会社はまだ1割ほどで、試す余地があります。
03お客様は、SNSで何を見ている?
お客様の側から見ると、SNSはどんな場所なのでしょうか。公的な調査と民間の調査から、3つの数字を並べてみます。
20〜30代では、購入前にSNSの評価を確認したい人が81.2%と、8割を超えています。
つまり、お店や会社のことを知ったお客様は、来店や問い合わせの前に、SNSで様子を確かめているかもしれません。SNSが止まっていたり、何年も前の投稿のままだったりすると、それだけで不安を与えてしまうこともあります。
04目的別の活用方法と、見るべき数字

SNSは目的によって、投稿の中身も見るべき数字も変わります。フォロワーの数だけを追いかけるのではなく、目的から逆算して、見る数字を決めることが大切です。
たとえば来店を増やしたいお店なら、フォロワーの数よりも、プロフィールからホームページや地図を見た人の数や、「SNSを見た」というお客様の数のほうが大事です。
採用が目的なら、SNS経由の応募や問い合わせの数を見ます。何を「成果」とするかを、最初に決めておくと、続けるほど何がうまくいっているのかが分かるようになります。
業種別に見ると
同じ「SNSを使う」でも、業種によって目的と見るべき数字は変わります。山梨に多い業種を例に挙げます。
05SNS活用の始め方 5つのステップ

これからSNSを始める場合は、次の順番で準備すると迷いにくくなります。
特に大事なのが、2つめと3つめです。日本政策金融公庫の「SNS活用ガイド」でも、媒体は「誰に見てほしいか」「何人で発信するか」で選ぶようすすめています。どのSNSを選べばよいかは「企業のSNSの使い分け」で詳しく紹介しています。
06伝わる投稿のコツ
日本政策金融公庫の「SNS活用ガイド」(2023年)には、小さな会社やお店がすぐに使える、投稿のコツがまとめられています。その中から、特に役立つものを紹介します。
なかでも、ふだん見えない「裏側」を見せることは、小さな会社ならではの強みです。仕込みの様子、職人の手元、商品ができるまで。この「舞台裏」が、会社や人への共感を生みます。動画の作り方は「企業のショート動画の始め方」で紹介しています。
07続けるための体制づくり
SNSでいちばん難しいのは、続けることです。日本政策金融公庫のガイドでも、効果を上げる3つのポイントとして「継続」「共感」「みんなで(発信・運営)」が挙げられています。担当者ひとりに任せきりにせず、会社として続けられる仕組みを作りましょう。
- 担当を決める:メインの担当者と、写真や話題を出してくれる協力者を決める。
- ペースを決める:「週に1〜2回」など、無理なく続けられる回数にする。
- ルールを決める:投稿してよいこと・いけないこと、写真に写る人の同意、言葉づかいなどを、簡単な決まりにしておく。
- 確認の流れを決める:誰が投稿前に確認するのかを決めておくと、ミスを防げる。
- まとめて撮る:1回の撮影で、1か月分ほどの写真や動画をまとめて撮っておくと、忙しい時期も投稿が止まりにくくなる。
- 振り返る:月に1回、数字と反応を見て、次の月の投稿を考える。
- 日々のちょっとした投稿
- お客様からのコメントやメッセージへの対応
- 投稿の最終確認
- 現場の話題を集める
- 動画の撮影・編集
- 投稿の企画
- 数字の分析と改善の提案
- SNS広告の運用
手が回らない部分は、外部に任せる方法もあります。撮影や編集、数字の分析は外部に、お客様とのやりとりや日々の投稿は社内で、という分け方です。
08気をつけたいルール
ステルスマーケティングの規制
2023年10月から、広告であることを隠した宣伝(ステルスマーケティング)は、景品表示法の違反になりました。社員の投稿や、知り合いに頼む口コミも関わるので、詳しくは「小さな会社のSNS炎上対策」をご覧ください。
炎上を防ぐための3つのこと
日本政策金融公庫のガイドでは、炎上を防ぐポイントとして、「裏付けのないことは書かない」「他人のプライバシーを出さない」「センシティブな世間の関心事にむやみに干渉しない」の3つを挙げています。お客様が写った写真や、ほかの人が作った音楽・画像を使うときは、事前に許可を取ることも忘れないようにしましょう。
09よくあるご質問
Q投稿は、どれくらいの頻度ですればいいですか?
決まった正解はありません。大切なのは、無理なく続けられることです。最初は「週に1〜2回」など、少なめのペースで始め、慣れてきたら増やしていくのがおすすめです。
Qフォロワーが少なくても意味はありますか?
あります。来店前や問い合わせ前にSNSで様子を確かめる人にとっては、フォロワーの数より、最近の投稿があることや、お店や会社の雰囲気が分かることのほうが大切です。また、TikTokやInstagramのリールのように、フォロワーが少なくても新しい人に届きやすい仕組みもあります。
Q社員の個人アカウントで、自社の商品を紹介してもいいですか?
販売促進のために社員が投稿する場合は、会社の宣伝とみなされやすく、「広告」「PR」などの表示が必要になる場合があります。社員の投稿についてのルールを、あらかじめ決めておきましょう。
QSNSの相談は、どこにすればいいですか?
各都道府県の「よろず支援拠点」など、中小企業向けの公的な無料相談窓口でも、SNSの相談を受け付けています。山梨県よろず支援拠点では、甲府市で月に1回ほど「よろずサロン」という相談会も開かれています。撮影や運用まで任せたい場合は、ホマレグラフにもご相談ください。
小規模事業者の4割がSNSを活用し、活用している事業者ほど、新しいお客様の見通しや採用の結果がよい傾向が見られます。3人に2人が、購入前にSNSの評価を確認したいと答えています。目的を決め、お客様のいる媒体を選び、見る数字を決めて、みんなで続ける。小さな会社だからこそ見せられる「裏側」を、SNSで発信していきましょう。
参考:中小企業庁「2025年版 小規模企業白書」/中小企業庁「2026年版 小規模企業白書」/総務省「令和7年 通信利用動向調査」/Web担当者Forum:アルティウスリンク「購買行動におけるSNS利用動向調査」(2025年5月)/日本政策金融公庫「SNS活用ガイド」/消費者庁 ステルスマーケティングに関するQ&A/Web担当者Forum:消費者庁が医療法人に景品表示法違反で措置命令、ステマと認定(2024年6月)/J-Net21:山梨県よろず支援拠点「よろずサロン」
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。