SNSで採用する方法。
中小企業が見せることと、応募までのつなぎ方

「若い人を採りたいなら、SNSをやったほうがいい」そう言われても、何を投稿すれば応募につながるのか、社員にどこまで頼んでいいのか、迷うことはありませんか。この記事では、国の調査から見える仕事探しの実態をもとに、会社のアカウントで見せること、社員の協力の得方、応募までのつなぎ方を順に整理します。
01仕事を探す人は、どこで会社を知っている?
まず、実際に仕事を変えた人が、どんな方法で次の勤め先を見つけたのかを見てみましょう。厚生労働省が2026年9月に公表した「令和7年転職者実態調査」の結果です。
いちばん多いのは求人サイトや求人誌などで、45.1%でした。20〜24歳では50.7%、25〜29歳では53.5%と、20代では半数を超えます。一方で、知人や友人の紹介(縁故)を使った人も22.2%おり、5人に1人以上が人のつながりも頼りにしていました。
会社のホームページを使った人も13.5%いました。SNSで興味を持った人が応募を決めるには、仕事の中身や条件を確かめられるページが欠かせません。SNSと採用ページは、セットで整えておきましょう。
なお、この調査の選択肢には「SNS」がなく、SNSがきっかけで転職した人の割合は分かりません。そのため、SNSは応募を受け付ける窓口というより、求人を見た人が「どんな会社か」を確かめに来る場所として考えておくのが無理のない使い方です。
若い世代ほどSNSの利用率が高いことは、総務省の調査でも分かっています(詳しくは「企業のSNSの使い分け」)。求人サイトで見つけ、SNSで確かめ、応募する。この流れを前提に組み立てます。
02求人サイトがあるのに、なぜSNSも使う?
求人サイトとSNSは、得意なことが違います。役割を分けて考えると、何を投稿すればいいかがはっきりします。
- いま仕事を探している人が見る
- 給与や休日を横並びで比べられる
- 掲載をやめると見られなくなる
- まだ探していない人にも届く
- ふだんの職場や人の様子を見せられる
- 続けるほど「あの会社」と覚えてもらえる
求人サイトは、仕事を探している人に条件を比べてもらう場所です。給与や休日が横並びになるため、小さな会社は条件だけでは目立ちにくくなります。
SNSは、まだ仕事を探していない人にも、ふだんの様子を見せられる場所です。「いつか転職するなら、あの会社」と覚えてもらうことが、SNSのいちばんの役割です。投稿してすぐ応募が来るものではないため、続けることが前提になります。
地方の会社では、通勤できる範囲に住む人が限られます。SNS広告やTVer広告なら、通勤圏の市町村に絞って採用の動画を届けることもできます(「TVer広告は地域指定できる?」)。
SNSを始めるときも、求人サイトの掲載はやめずに、両方を並べて使います。求人サイトで会社名を見た人が検索したとき、最近の投稿が並んでいる状態を目指しましょう。
03会社のアカウントでは、何を見せればいい?
投稿の中身は、仕事を探す人が「何で会社を選び、何で辞めるのか」から逆算します。同じ転職者実態調査で、今の会社を選んだ理由(3つまで)の1位は「仕事の内容・職種に満足がいくから」で40.2%でした。
一方、厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」では、初めて勤めた会社を辞めた理由(3つまで)は「労働時間・休日・休暇の条件」28.5%、「人間関係」26.4%が上位でした。選ぶ理由と辞める理由の両方に、投稿で先に答えておくのが基本です。
たとえば建設業なら、朝礼から現場に向かうまでの流れや、先輩が道具の使い方を教える手元を、30秒ほどの縦型動画にします。きれいに整えた写真より、ふだんの職場が見えるほうが、「自分にできるか」「どんな人と働くか」という疑問に答えやすくなります。
撮るなら、いつ・何を
採用の投稿に使いやすい場面は、1日の中に何度もあります。撮る時間を決めておくと、仕事の手を止めずに素材がたまります。
- 朝の始まり:朝礼や、車に道具を積み込む様子。1日の流れが伝わる。
- 先輩の手元:教えている場面。「入ってから覚えられるか」の答えになる。
- お昼休み:休憩室や、みんなで食べる様子。人間関係の空気が見える。
- 季節の仕事:ぶどうの収穫期、冬の朝の現場など、山梨の季節ごとの大変さも正直に。
投稿は週1回でもよいので、続けることが大切です。ネタの出し方は「SNSの投稿ネタが続かないときの考え方」でも紹介しています。縦型動画の作り方は「会社・お店のインスタリールの作り方」をご覧ください。
業種別に見ると
「選ぶ理由」と「辞める理由」に答える投稿でも、業種によって見せたい場面は変わります。考え方の例をまとめました。
04社員には、どこまで協力してもらう?
採用のSNSでいちばん伝わるのは、そこで働く人の姿です。ただ、社員にとっては、仕事の延長で顔や名前を出すことになります。協力をお願いする前に、次のような線引きを決めておきましょう。
- 出るかどうかは本人が決める:断っても評価に関係しないことを、はっきり伝える。
- 顔を出さない出方も用意する:手元、後ろ姿、声だけ、名前は出さないなど。
- 個人のアカウントでの投稿は頼まない:会社のアカウントでの発信を基本にする。
- 撮影は勤務時間内に:休みの日に撮ってもらうことはしない。
- 退職したあとの扱いを先に決める:同意書に書いておく。
同意書に入れる項目や、退職したときの考え方は「社員を動画に出すときの同意書」で詳しく紹介しています。出るかどうかを本人が選べることが、長く続けるための前提です。
投稿の担当を若手社員にお願いする場合は、その作業を業務として扱い、時間が取れるようにほかの仕事を減らしましょう。「空いた時間にやっておいて」では、忙しい時期に止まってしまいます。
紹介をお願いするときの注意
先ほどの調査では、転職した人の22.2%が知人・友人の紹介を使っていました。社員に「知り合いに声をかけてほしい」とお願いするのも、採用の方法の1つです。
ただし、職業安定法第40条により、募集に関わった社員に報酬を出せるのは、賃金や給料などとして支払う場合に限られます。紹介のお礼を出すなら、就業規則や賃金の規程に定めたうえで、賃金として支払う形にします。決める前に社会保険労務士に確認しておくと安心です。
05投稿から応募まで、どうつなぐ?
投稿を見て興味を持った人が、迷わず次に進めるように、道筋を作っておきます。
大切なのは、いきなり「応募」だけを入口にしないことです。「見学だけ」「話を聞くだけ」という小さな入口があると、まだ転職を決めていない人も声をかけやすくなります。
プロフィールのリンクは、採用ページに直接つなぎます。トップページにつなぐと、採用の情報を探す手間がひとつ増えます。プロフィールの整え方は「Instagramのプロフィールの整え方」も参考にしてください。
見学の案内には、日時の候補、かかる時間、服装、駐車場の有無を書いておきます。車で通う人が多い地域では、駐車場の一言があるだけで来やすさが変わります。
DMやコメントで質問が来たら、返事はできるだけその日のうちに。対応する人と、答えてよい範囲を決めておくと、担当者が休みの日も止まりません。
06SNSで採用するとき、気をつけるルールは?
SNSでの採用にも、求人と同じ法律がかかります。主な点は次のとおりです。
- 条件はうそや誤解のない書き方に:2022年10月施行の改正職業安定法で、求人情報の「的確な表示」が義務になりました。ウェブサイトやアプリ、メッセージでの募集も対象です。
- いつの情報かを分かるように:求人情報は正確で最新の内容に保つ決まりです。募集を終えたら投稿を更新し、固定した投稿に古い条件を残さない。
- 集めた個人情報の使い道を示す:何のために使うかを明らかにし、DMや応募フォームで受け取った情報は、選考の連絡などに限って使う。
- 写り込みに気をつける:お客様や取引先の人、車のナンバー、書類の文字が映らない場所で撮る。
- 応募者のSNSを詮索しない:思想や信条、家族のことなど、仕事に関係のないことを調べて選考に使うと、就職差別につながるおそれがあります。
社員がふだん個人で発信するときの注意は「小さな会社のSNS炎上対策」でまとめています。法律の判断に迷うときは、労働局や社会保険労務士などの専門家に確認しましょう。
07よくあるご質問
Q採用のために、会社とは別のアカウントを作るべきですか?
最初は、今ある会社のアカウントで採用の投稿を混ぜる形でかまいません。お客様向けの投稿も、働く人にとっては会社を知る材料になります。投稿の半分以上が採用の話になってきたら、分けることを考えましょう。
QどのSNSを使えばいいですか?
来てほしい人の年代で選びます。高校生や20代前半ならTikTokやInstagram、幅広い年代ならYouTubeが候補です。1つに絞って続けるほうが、成果を確かめやすくなります。
Q効果は、何を見ればいいですか?
応募の数だけでなく、面接で「SNSを見ました」と言われた数を数えてみてください。応募フォームに「何で当社を知りましたか」という質問を1つ入れておくと、続ける判断がしやすくなります。
Q採用向けの動画の撮影や、SNSの運用も相談できますか?
はい。ホマレグラフでは、採用向けの縦型動画の撮影・編集や、SNSの運用、地域を絞った動画広告の配信について相談できます。ご相談・お見積もりは無料です。
国の調査では、転職した人が使った方法でいちばん多いのは求人サイトなどで、5人に1人以上は知人・友人の紹介も使っていました。SNSは、求人を見た人が会社を確かめに来る場所であり、まだ探していない人に覚えてもらう場所です。選ぶ理由と辞める理由に答える投稿を続け、社員には無理のない出方で協力してもらい、プロフィールから採用ページと見学の入口へつなぎましょう。
参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月公表)/厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(2024年9月公表)/厚生労働省「職業安定法の改正(求人企業向け)」/e-Gov法令検索「職業安定法」/厚生労働省「公正な採用選考の基本」/総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(いずれも2026年10月27日に確認)
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
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