採用読了 約9分

SNSで採用する方法。
中小企業が見せることと、応募までのつなぎ方

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 6件を記事の最後に掲載
作業エプロン姿で火花を散らしながら金属を削る手元

「若い人を採りたいなら、SNSをやったほうがいい」そう言われても、何を投稿すれば応募につながるのか、社員にどこまで頼んでいいのか、迷うことはありませんか。この記事では、国の調査から見える仕事探しの実態をもとに、会社のアカウントで見せること、社員の協力の得方、応募までのつなぎ方を順に整理します。

01仕事を探す人は、どこで会社を知っている?

まず、実際に仕事を変えた人が、どんな方法で次の勤め先を見つけたのかを見てみましょう。厚生労働省が2026年9月に公表した「令和7年転職者実態調査」の結果です。

いちばん多いのは求人サイトや求人誌などで、45.1%でした。20〜24歳では50.7%、25〜29歳では53.5%と、20代では半数を超えます。一方で、知人や友人の紹介(縁故)を使った人も22.2%おり、5人に1人以上が人のつながりも頼りにしていました。

会社のホームページを使った人も13.5%いました。SNSで興味を持った人が応募を決めるには、仕事の中身や条件を確かめられるページが欠かせません。SNSと採用ページは、セットで整えておきましょう。

なお、この調査の選択肢には「SNS」がなく、SNSがきっかけで転職した人の割合は分かりません。そのため、SNSは応募を受け付ける窓口というより、求人を見た人が「どんな会社か」を確かめに来る場所として考えておくのが無理のない使い方です。

若い世代ほどSNSの利用率が高いことは、総務省の調査でも分かっています(詳しくは「企業のSNSの使い分け」)。求人サイトで見つけ、SNSで確かめ、応募する。この流れを前提に組み立てます。

02求人サイトがあるのに、なぜSNSも使う?

求人サイトとSNSは、得意なことが違います。役割を分けて考えると、何を投稿すればいいかがはっきりします。

求人サイトは、仕事を探している人に条件を比べてもらう場所です。給与や休日が横並びになるため、小さな会社は条件だけでは目立ちにくくなります。

SNSは、まだ仕事を探していない人にも、ふだんの様子を見せられる場所です。「いつか転職するなら、あの会社」と覚えてもらうことが、SNSのいちばんの役割です。投稿してすぐ応募が来るものではないため、続けることが前提になります。

地方の会社では、通勤できる範囲に住む人が限られます。SNS広告やTVer広告なら、通勤圏の市町村に絞って採用の動画を届けることもできます(「TVer広告は地域指定できる?」)。

SNSを始めるときも、求人サイトの掲載はやめずに、両方を並べて使います。求人サイトで会社名を見た人が検索したとき、最近の投稿が並んでいる状態を目指しましょう。

03会社のアカウントでは、何を見せればいい?

投稿の中身は、仕事を探す人が「何で会社を選び、何で辞めるのか」から逆算します。同じ転職者実態調査で、今の会社を選んだ理由(3つまで)の1位は「仕事の内容・職種に満足がいくから」で40.2%でした。

一方、厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」では、初めて勤めた会社を辞めた理由(3つまで)は「労働時間・休日・休暇の条件」28.5%、「人間関係」26.4%が上位でした。選ぶ理由と辞める理由の両方に、投稿で先に答えておくのが基本です。

たとえば建設業なら、朝礼から現場に向かうまでの流れや、先輩が道具の使い方を教える手元を、30秒ほどの縦型動画にします。きれいに整えた写真より、ふだんの職場が見えるほうが、「自分にできるか」「どんな人と働くか」という疑問に答えやすくなります。

撮るなら、いつ・何を

採用の投稿に使いやすい場面は、1日の中に何度もあります。撮る時間を決めておくと、仕事の手を止めずに素材がたまります。

  • 朝の始まり:朝礼や、車に道具を積み込む様子。1日の流れが伝わる。
  • 先輩の手元:教えている場面。「入ってから覚えられるか」の答えになる。
  • お昼休み:休憩室や、みんなで食べる様子。人間関係の空気が見える。
  • 季節の仕事:ぶどうの収穫期、冬の朝の現場など、山梨の季節ごとの大変さも正直に。

投稿は週1回でもよいので、続けることが大切です。ネタの出し方は「SNSの投稿ネタが続かないときの考え方」でも紹介しています。縦型動画の作り方は「会社・お店のインスタリールの作り方」をご覧ください。

業種別に見ると

「選ぶ理由」と「辞める理由」に答える投稿でも、業種によって見せたい場面は変わります。考え方の例をまとめました。

介護・福祉たとえば介護施設なら、利用者の方が写らない場面を選ぶことが前提です。夜勤の引き継ぎの様子や、職員どうしで声をかけ合う休憩室、資格の勉強を支える仕組みなど、働く人の側から見た一日を見せると、仕事のきつさだけでない姿が伝わります。
運送業たとえば運送会社なら、出庫前の点検や、停車中の運転席から見える甲府盆地の朝の景色を短い動画にできます。何時に出て何時に帰れるのか、休みはどう取るのかを、ドライバー本人の言葉で添えると、働く時間への不安に先に答えられます。
製造業たとえば工場なら、製品そのものは取引先との約束で映せないことがあります。その場合は、手元の作業や休憩時間、検査の様子など映してよい場面を決めておきます。きれいで静かな職場や、空調の効いた作業場も、求職者には大事な情報です。

04社員には、どこまで協力してもらう?

採用のSNSでいちばん伝わるのは、そこで働く人の姿です。ただ、社員にとっては、仕事の延長で顔や名前を出すことになります。協力をお願いする前に、次のような線引きを決めておきましょう。

  • 出るかどうかは本人が決める:断っても評価に関係しないことを、はっきり伝える。
  • 顔を出さない出方も用意する:手元、後ろ姿、声だけ、名前は出さないなど。
  • 個人のアカウントでの投稿は頼まない:会社のアカウントでの発信を基本にする。
  • 撮影は勤務時間内に:休みの日に撮ってもらうことはしない。
  • 退職したあとの扱いを先に決める:同意書に書いておく。

同意書に入れる項目や、退職したときの考え方は「社員を動画に出すときの同意書」で詳しく紹介しています。出るかどうかを本人が選べることが、長く続けるための前提です。

投稿の担当を若手社員にお願いする場合は、その作業を業務として扱い、時間が取れるようにほかの仕事を減らしましょう。「空いた時間にやっておいて」では、忙しい時期に止まってしまいます。

紹介をお願いするときの注意

先ほどの調査では、転職した人の22.2%が知人・友人の紹介を使っていました。社員に「知り合いに声をかけてほしい」とお願いするのも、採用の方法の1つです。

ただし、職業安定法第40条により、募集に関わった社員に報酬を出せるのは、賃金や給料などとして支払う場合に限られます。紹介のお礼を出すなら、就業規則や賃金の規程に定めたうえで、賃金として支払う形にします。決める前に社会保険労務士に確認しておくと安心です。

05投稿から応募まで、どうつなぐ?

投稿を見て興味を持った人が、迷わず次に進めるように、道筋を作っておきます。

大切なのは、いきなり「応募」だけを入口にしないことです。「見学だけ」「話を聞くだけ」という小さな入口があると、まだ転職を決めていない人も声をかけやすくなります。

プロフィールのリンクは、採用ページに直接つなぎます。トップページにつなぐと、採用の情報を探す手間がひとつ増えます。プロフィールの整え方は「Instagramのプロフィールの整え方」も参考にしてください。

見学の案内には、日時の候補、かかる時間、服装、駐車場の有無を書いておきます。車で通う人が多い地域では、駐車場の一言があるだけで来やすさが変わります。

DMやコメントで質問が来たら、返事はできるだけその日のうちに。対応する人と、答えてよい範囲を決めておくと、担当者が休みの日も止まりません。

06SNSで採用するとき、気をつけるルールは?

SNSでの採用にも、求人と同じ法律がかかります。主な点は次のとおりです。

  • 条件はうそや誤解のない書き方に:2022年10月施行の改正職業安定法で、求人情報の「的確な表示」が義務になりました。ウェブサイトやアプリ、メッセージでの募集も対象です。
  • いつの情報かを分かるように:求人情報は正確で最新の内容に保つ決まりです。募集を終えたら投稿を更新し、固定した投稿に古い条件を残さない。
  • 集めた個人情報の使い道を示す:何のために使うかを明らかにし、DMや応募フォームで受け取った情報は、選考の連絡などに限って使う。
  • 写り込みに気をつける:お客様や取引先の人、車のナンバー、書類の文字が映らない場所で撮る。
  • 応募者のSNSを詮索しない:思想や信条、家族のことなど、仕事に関係のないことを調べて選考に使うと、就職差別につながるおそれがあります。

社員がふだん個人で発信するときの注意は「小さな会社のSNS炎上対策」でまとめています。法律の判断に迷うときは、労働局や社会保険労務士などの専門家に確認しましょう。

07よくあるご質問

Q採用のために、会社とは別のアカウントを作るべきですか?
A

最初は、今ある会社のアカウントで採用の投稿を混ぜる形でかまいません。お客様向けの投稿も、働く人にとっては会社を知る材料になります。投稿の半分以上が採用の話になってきたら、分けることを考えましょう。

QどのSNSを使えばいいですか?
A

来てほしい人の年代で選びます。高校生や20代前半ならTikTokやInstagram、幅広い年代ならYouTubeが候補です。1つに絞って続けるほうが、成果を確かめやすくなります。

Q効果は、何を見ればいいですか?
A

応募の数だけでなく、面接で「SNSを見ました」と言われた数を数えてみてください。応募フォームに「何で当社を知りましたか」という質問を1つ入れておくと、続ける判断がしやすくなります。

Q採用向けの動画の撮影や、SNSの運用も相談できますか?
A

はい。ホマレグラフでは、採用向けの縦型動画の撮影・編集や、SNSの運用、地域を絞った動画広告の配信について相談できます。ご相談・お見積もりは無料です。

まとめ

国の調査では、転職した人が使った方法でいちばん多いのは求人サイトなどで、5人に1人以上は知人・友人の紹介も使っていました。SNSは、求人を見た人が会社を確かめに来る場所であり、まだ探していない人に覚えてもらう場所です。選ぶ理由と辞める理由に答える投稿を続け、社員には無理のない出方で協力してもらい、プロフィールから採用ページと見学の入口へつなぎましょう。

参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月公表)/厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(2024年9月公表)/厚生労働省「職業安定法の改正(求人企業向け)」/e-Gov法令検索「職業安定法」/厚生労働省「公正な採用選考の基本」/総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(いずれも2026年10月27日に確認)

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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