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数字で見る山梨の商圏。
市町村の人口・昼と夜の差・観光客を、広告と出店に生かす

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 5件を記事の最後に掲載
湖畔のコキアの花畑を歩く人々と富士山

「広告をどの市町村に出すか」「次の店をどこに構えるか」地域選びは、つい印象で決めがちです。けれど県や国の統計を開くと、市町村ごとの違いがはっきり見えてきます。この記事では、2026年10月に公表された国勢調査などから、人口・世帯・年代、昼と夜の人口、観光客の数字と、その使い方を紹介します。あなたの商圏は、本当はどこでしょうか。

01商圏は「住んでいる人」だけで決まる?

商圏とは、お店や会社のお客様が来てくれる範囲のことです。多くの人は、まず「近くに何人住んでいるか」を考えます。けれど、お客様になる人は住民だけではありません。

山梨で商圏を考えるときは、住む人・働きに来る人・観光で来る人の3つに分けると整理しやすくなります。同じ町でも、時間帯や季節によって、いる人が大きく入れ替わるからです。

  • 住む人:その町に暮らしている人。夜や休日に、家の近くで買い物やサービスを使う。
  • 働きに来る人:その町の会社や学校に通う人。平日の昼に、ランチや仕事の用事で使う。
  • 観光で来る人:県の内外から遊びに来る人。週末や連休、季節によって大きく増減する。

それぞれの人数は、公的な統計で調べられます。住む人は国勢調査、働きに来る人は国勢調査の「昼間人口」、観光で来る人は山梨県の観光入込客統計です。この記事では、この3つを順に見ていきます。

02山梨には、どんな世帯が住んでいる?

まず、県全体の姿です。2026年10月16日に山梨県が公表した令和7年国勢調査の結果(2025年10月1日時点)から、主な数字をまとめました。

人口は779,276人で、5年前より30,698人(3.8%)減りました。一方で、世帯の数は8,398世帯増えています。人は減っているのに、世帯は増えているのが、いまの山梨の特徴です。

1世帯あたりの人数は2.24人で、調査が始まってから最も少なくなりました。一般世帯のうち、1人の世帯が36.7%、2人の世帯が30.8%で、あわせて7割近くを占めます。

世帯の形から、売れるものが変わる

  • 少人数の世帯が多い:食品なら少量パック、住まいならコンパクトな間取り、サービスなら1人でも頼みやすい料金の見せ方が合います。
  • 65歳以上が3人に1人:65歳以上の割合は32.4%で、調査開始以来、最も高くなりました。文字の大きさや、電話での問い合わせ先の見せ方も大切です。
  • 外国人の住民が増えている:外国人人口は23,603人(人口の3.0%)で、5年前より50.7%増えました。割合は中央市(7.5%)、山中湖村(6.5%)、富士河口湖町(4.6%)の順に高く、こうした町では、やさしい日本語や多言語の案内も役立ちます。

03市町村によって、何が違う?

県全体の数字だけでは、地域選びには使えません。同じ国勢調査で、主な市町村を比べてみましょう。昼夜間人口比率は、次の章で説明します。

市町村人口(人)5年の増減率65歳以上の割合昼夜間人口比率
甲府市183,450-3.2%29.9%113.1%
甲斐市75,507+0.3%27.7%78.1%
南アルプス市69,196-0.4%28.9%88.7%
笛吹市64,230-4.1%31.7%92.1%
富士吉田市43,633-6.2%33.6%98.8%
北杜市41,767-5.2%44.2%103.6%
富士河口湖町26,485+1.5%27.5%99.0%
昭和町21,786+4.2%20.1%125.3%
大月市20,034-11.0%44.4%92.2%
身延町8,910-16.4%51.7%102.4%

人口・増減率・65歳以上の割合は令和7年国勢調査(2025年10月1日時点、山梨県公表)。昼夜間人口比率は令和2年国勢調査(2020年10月1日時点)。

表から、次のような違いが読み取れます。

  • 人口が増えたのは4市町村だけ:昭和町(+877人)、富士河口湖町(+403人)、甲斐市(+194人)、山中湖村(+35人)です。残りの23市町村は減りました。
  • 若い家族が多い町と、高齢の方が多い町:65歳以上の割合は、昭和町の20.1%から身延町の51.7%まで、2倍以上の差があります。
  • 子どもの割合:15歳未満の割合は、昭和町(15.0%)、忍野村(14.1%)、南アルプス市(12.7%)の順に高くなっています。

たとえば子ども向けの教室なら昭和町や南アルプス市、高齢の方向けのサービスなら北杜市や峡南地域というように、同じ予算でも、届けたい相手が多い町から優先できます。

04昼と夜で、人が入れ替わる町はどこ?

国勢調査には、住んでいる人(夜間人口)とは別に、通勤・通学先で数えた「昼間人口」があります。昼間人口を夜間人口で割ったものが昼夜間人口比率で、100%を超えると、昼に人が集まる町です。

甲府市は、住んでいる人189,591人に対し、昼間の人口は214,429人でした(2020年)。昼の甲府には、住民より約2万5千人多い人がいる計算です。昭和町は125.3%で、県内で最も高くなっています(2番目は早川町の124.4%)。

反対に、甲斐市は78.1%で、西桂町(74.5%)に次いで県内で2番目に低く、昼は市の外へ働きに出る人が多い町です。甲斐市の人に届けたいなら、平日の昼より、夕方や休日に家の近くで目にする方法が合いそうです。

昼の商圏と、夜・休日の商圏を分けて考える

  • 平日のランチや、会社向けのサービス:昼間人口の多い甲府市・昭和町・中央市などが中心になります。
  • 家族で使うお店や、住まいのサービス:平日の昼は外へ働きに出る人が多い甲斐市・南アルプス市なども含めて、夕方や休日の商圏で考えます。

山梨は車で動く人が多く、市町村の境を越えて買い物に行くのがふつうです。車の保有台数の数字は「地方・郊外の飲食店の集客方法」で紹介しています。

05観光客は、どこに、どこから来る?

3つ目は、観光で来る人です。山梨県の観光入込客統計調査(2024年1〜12月、2025年10月公表)では、観光客は実人数で3,158万8千人でした。県の人口の約40倍にあたります。

地域別では、富士・東部が1,730万人で、県全体の54.8%を占めました。次いで峡中(甲府市など)が512万人、峡東(笛吹市・山梨市・甲州市)が452万人です。観光客の多さは、地域によって大きく偏っています。

内訳は、日帰りが2,220万7千人、宿泊が938万1千人です。観光客1人あたりの消費額は平均15,402円で、観光消費額は4,865億円と、いまの方法で統計を取り始めてから最も多くなりました。

同じ調査のアンケート(県内10か所)では、回答者の76.5%が県外の人でした。県外の人の住まいは、東京都27.2%、神奈川県18.2%、静岡県15.2%の順です。

観光地のお店にとっては、商圏が県の外にもあるということです。月ごとの観光客の増減は「飲食店の閑散期はいつ?」でまとめています。

06広告や出店に、どう使えばいい?

数字は、眺めるだけでは役に立ちません。広告や出店の判断に使うときは、次の順番で進めると迷いにくくなります。

地図で、自分の店のまわりを数える

総務省統計局の「jSTAT MAP(地図で見る統計)」では、地図の上に範囲を作り、その中の統計をレポートにまとめられます。店から半径数kmの人口や年代を、自分で確かめられる道具です。

広告の地域を、数字で選ぶ

住んでいる人に届けるなら、人口と年代の表から市町村を選びます。昼に働く人に届けるなら、昼間人口の多い町を中心にします。観光客に届けるなら、県外客の住まいで多い東京都・神奈川県・静岡県などから考えます。

市町村を絞って出せる広告の例は「TVer広告は地域指定できる?」で紹介しています。地域を絞ったら、反応のあった地域を記録して、次の配信で地域を足したり減らしたりすることが大切です。

数字だけで決めない

  • 統計には時点がある:昼間人口は2020年の数字です。新しい工場や住宅地ができた町では、変わっている可能性があります。
  • 近くの競合も見る:人が多くても、同じ業種の店が多ければ選ばれにくくなります。
  • いまのお客様の住所を見る:顧客名簿や予約の記録で、どの市町村から来ているかを数えると、統計の答え合わせになります。

業種別に見ると

同じ統計でも、業種によって見るべき数字が変わります。

歯科・クリニックたとえば歯科やクリニックなら、住んでいる人の数と年代を見ます。65歳以上の割合が高い町では、送迎や駐車場、電話予約の案内が大切です。若い家族が多い昭和町や南アルプス市なら、子ども連れで通いやすいことを伝えると届きやすくなります。
ランチ営業の飲食店たとえば平日のランチが中心の飲食店なら、昼間人口を見ます。甲府市や昭和町のように昼に人が集まる町では、近くで働く人に向けた発信が届きやすくなります。夜や休日の営業は、住んでいる人の多い甲斐市など周辺の町まで、商圏を広げて考えましょう。
子ども向けの習いごと教室たとえば学習塾やスポーツ教室など子ども向けの教室なら、15歳未満の割合を見ます。昭和町、忍野村、南アルプス市、甲斐市は割合が高い町です。送り迎えは車が中心なので、市町村の境を越えて、車で通える範囲を商圏として考えましょう。

07よくあるご質問

Q統計は、どこで見られますか?
A

国勢調査の山梨県の結果は、山梨県の統計のページで公開されています。観光の数字は、山梨県の観光入込客統計調査のページで見られます。この記事の最後に出典をまとめています。

Q昼間人口の新しい数字はありますか?
A

2026年10月時点で、市町村別の昼夜間人口比率は2020年の国勢調査が最新です。総務省統計局によると、2025年の調査の昼間人口などの集計(従業地・通学地による集計)は、2027年5月までに公表される予定です。

Q人口が減っている町には、広告を出さないほうがいいですか?
A

そうとは限りません。減っていても、届けたい年代が多い町や、競合が少ない町もあります。人数だけでなく、年代と目的をあわせて見て決めましょう。

Qどの地域に広告を出すか、相談できますか?
A

はい。お客様や目的をお聞きして、統計をもとに配信する地域や媒体を一緒に考えます。TVer広告やSNS広告、動画の制作まで相談できます。ご相談は無料です。

まとめ

山梨の商圏は、住む人・働きに来る人・観光で来る人の3つで考えると見えてきます。人口は減っても世帯は増え、少人数の世帯が7割近く。昭和町と身延町では、高齢の方の割合に2倍以上の差があります。甲府市や昭和町には昼に人が集まり、富士・東部には県外からの観光客が集まります。印象ではなく数字で地域を選び、結果を記録して次に生かしましょう。

参考:山梨県「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果(山梨県の概要)」(2026年10月16日公表)/山梨県「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計結果」(2022年8月)/山梨県「令和6年 山梨県観光入込客統計調査結果」(2025年10月)/総務省統計局「令和7年国勢調査 調査の結果」(集計結果の公表予定)/総務省統計局「jSTAT MAP(地図で見る統計)」

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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