動画制作に補助金は使える?
小規模事業者持続化補助金のポイント

「動画を作りたいけれど、費用が心配。補助金は使えないだろうか」そう考える小さな会社やお店も多いのではないでしょうか。第20回の小規模事業者持続化補助金では、動画の扱いが大きく変わりました。この記事では、公募要領をもとに、補助金の金額と対象の経費、変わった点、対象外になりやすいもの、申請の流れと日程、山梨県や市町村の制度をお伝えします。
※この記事は、2026年10月時点の情報(第20回 公募要領 第8版)をもとにしています。第20回の受付期間は2026年11月5日〜12月15日17時です。補助金の内容は公募の回ごとに変わるため、申請の前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
01動画制作に使える補助金の種類
動画制作に使える可能性がある補助金には、国の制度と、県や市町村の制度があります。なかでも、小さな会社やお店が使いやすいのが、国の「小規模事業者持続化補助金」です。
この補助金は、小規模な事業者が、販路を広げるための取り組み(新しいお客様を増やす取り組み)にかかる費用の一部を補助するものです。商品やサービスを宣伝するための動画や、チラシ、ホームページ、広告などが対象になります。
ほかにも、設備投資や新しい事業のための大型の補助金の中で、動画が経費の一部として認められる場合もありますが、条件や手続きが複雑です。この記事では、動画制作でいちばん身近な持続化補助金を中心にお伝えします。
02小規模事業者持続化補助金とは

2026年10月時点で、次に受付が始まるのは、一般型 通常枠の第20回です(受付は11月5日から)。主な内容は次のとおりです。
補助の上限は50万円で、かかった経費の3分の2が補助されます。たとえば75万円の経費なら、50万円が補助される計算です。
条件を満たすと、上限が上乗せされる特例もあります(インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両方で200万円。赤字の事業者が賃金引上げ特例を使う場合は補助率が4分の3)。
ただし、特例の要件を1つでも満たせなかった場合は、上乗せ分だけでなく、補助金の全額が交付されなくなるので注意が必要です。
対象になる「小規模事業者」
対象になるのは、従業員の数が少ない事業者です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、宿泊業・娯楽業、製造業その他は20人以下が条件です。役員や同居の親族などは、この人数に含めません。
03第20回から、動画の扱いが変わった
動画制作を考えている方にとって、いちばん大事なのがこの点です。第20回の公募要領では、動画をどの経費として計上するかが整理されました。
- 商品・サービスの宣伝のための画像や動画の作成
- SNS広告、運用代行の費用
- デジタルサイネージへの広告の掲載
- 補助金の額で上限30万円(税込)
- 自社のホームページやネットショップに載せる動画
- ホームページやネットショップの制作
- ウェブ・システムに関する外注
- 補助金の額で上限30万円(税込)
第19回までは、ホームページや動画などのウェブに関する費用は「ウェブサイト関連費」にまとめられ、補助金の額の4分の1(最大50万円)までという上限がありました。第20回からは、商品やサービスを宣伝するための動画は「広報費」、自社のホームページやネットショップに載せる動画は「ウェブサイト関連費」として計上します。
どちらも、上限は補助金の額で30万円(税込)です。経費の額ではなく、補助金の額で30万円なので、補助率3分の2なら、経費が約45万円のところで上限に届きます。たとえば動画の制作費が100万円でも、広報費として補助されるのは30万円までです。また、広報費とウェブサイト関連費は、それだけでは申請できず、ほかの経費と組み合わせる必要があります。
さらに、第19回まではウェブサイト関連費だったSNS広告や運用代行の費用が、第20回から広報費になりました。デジタルサイネージに流す動画の制作費も、第20回からは宣伝用の動画として広報費に計上します。「宣伝用の動画を作り、SNS広告で配信する」といった計画が立てやすくなったといえます。
業種別に見ると
「宣伝用の動画」と「ホームページに載せる動画」の区別は、業種ごとの例で考えると分かりやすくなります。対象になるかどうかは、最終的には公募要領と商工会・商工会議所でご確認ください。
04対象外になりやすいもの
動画であれば何でも対象になるわけではありません。公募要領では、次のようなものは対象外とされています。
- 社名や商品名が入っていない、単なる会社のPR:販路を広げるための宣伝になっていないもの。
- 会社案内のパンフレットや名刺:宣伝ではなく、会社の紹介のためのもの。
- 求人広告:採用のための広告は、販路を広げる取り組みにはあたりません。
- 有料で配信する動画や講座の動画:動画そのものを商品として売るもの。
- 期間内に運用に至らなかったもの:補助事業の期間内に、運用を始められなかったホームページやランディングページなど。
なお、動画の制作費は広報費・ウェブサイト関連費として計上します。それ以外の業務を外部に頼む「委託・外注費」は、自社ではできない業務に限られます。たとえば、ふだんからデザインを仕事にしている会社が、デザインを外注する費用は対象になりません。
05申請の流れとスケジュール

第20回の申請の流れは、次のとおりです。
第20回の主な日程
- 申請の受付:2026年11月5日〜12月15日17時
- 事業支援計画書(様式4)の発行の締切:2026年12月4日(様式4は、商工会・商工会議所に書いてもらう書類です。締切後の依頼は受け付けられません)
- 採択の発表:2027年3月頃の予定
- 補助事業を行える期限:2028年3月31日
申請の前にやっておくこと
申請の受付は2026年11月5日から12月15日17時までです。申請にはGビズIDプライムが必要なので、早めに取っておきましょう。書類で申請すると、審査に最大1か月かかります。地域の商工会・商工会議所に、様式4の相談の予約も入れておきましょう。様式4の発行の締切は12月4日です。
「先に作っておく」はできない
いちばん気をつけたいのが、交付の決定(事務局から「この内容で補助します」と正式に通知されること)より前に、発注・契約・支払いをした費用は対象にならないことです。採択の通知を受け取っただけでは、まだ発注できません。
交付の決定は、採択の発表から1〜2か月ほどかかるとされています。また、補助金は後払いなので、制作の費用はいったん自社で支払う必要があります。動画を公開したい時期から逆算して、余裕を持って計画しましょう。
06山梨県・市町村の補助制度
国の制度のほかに、山梨県や県内の市町村にも、販路を広げる取り組みを支える制度があります。
- 山梨県「やまなしイノベーション創出事業費補助金(経営計画等)」:上限50万円、補助率2分の1。対象の経費に広報費などが含まれます。令和8年度の募集は終了していますが、例年の募集時期を確認しておくとよいでしょう(問い合わせ:山梨県商工会連合会)。
- 甲州市「小規模企業者持続化補助金」:最大15万円、補助率3分の2以内。2026年度の後期の募集は、2026年10月19日〜11月27日です(募集は前期・後期の年2回)。過去に同じ市の補助金を使った事業者は対象外などの条件があります。また、同じ年度に国や県の同様の補助金(国の持続化補助金など)で採択されると、甲州市の補助金は使えません。どちらに出すかを先に決めておきましょう。
ほかの市町村にも独自の制度がある場合があります。会社のある市町村の商工担当の窓口や、地域の商工会・商工会議所に確認してみてください。なお、様式4の窓口は、甲府市と富士吉田市の会社なら商工会議所、そのほかの市町村なら地域の商工会です(県内の商工会議所は甲府と富士吉田の2つです)。
07制作会社に相談するときの注意点
補助金を使って動画を作る場合、制作会社に相談するときにも気をつけたい点があります。
見積もりは2社以上から
第20回では、1件50万円(税込)を超える発注には、2社以上の見積もりをとり、より安い発注先を選ぶことが求められています(第19回は100万円超でした)。理由書による例外もありますが、早めに複数の会社に相談しておきましょう。
申請は、自社で行うもの
事業の計画は、自社で考えて作るものです。外部の支援を受けた場合は、申請の書類で申告することが求められています。申告しないと、不採択や交付の取り消しの対象になります。
また、申請に使うGビズIDを他人に教えることは、利用規約で禁じられています。制作会社に頼めるのは、動画の企画の内容を整理することと、内訳の分かる見積書づくりまでだと考えておきましょう。
08よくあるご質問
Q動画だけで補助金を申請できますか?
いいえ。広報費とウェブサイト関連費は、それだけでは申請できません(03で紹介したとおりです)。
Q採用動画にも使えますか?
持続化補助金は販路を広げるための制度で、求人広告は対象外とされています。採用を目的とした動画は、対象にならない可能性が高いと考えておきましょう。
Q必ず補助金はもらえますか?
いいえ。審査があり、採択されない場合や、補助の額が減る場合もあります。採択を前提に発注するのではなく、交付の決定を受けてから進めてください。
QTVer広告は補助金の対象になりますか?
公募要領にTVerの名前はありませんが、広報費の例には「インターネット広告」が挙げられています。対象になるかどうかは、申請の前に商工会・商工会議所や事務局に確認することをおすすめします。
商品やサービスを宣伝するための動画は、小規模事業者持続化補助金の対象になります。第20回からは、宣伝用の動画とSNS広告を組み合わせた計画も立てやすくなりました。一方で、交付の決定前の発注は対象外、補助金は後払い、審査があるといった注意点もあります。様式4の発行は12月4日、受付は12月15日が締切です。準備は早めに進めましょう。
参考:小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領 第8版(2026年7月)/公募要領 新旧対照表(第19回から第20回の変更点)/山梨県 やまなしイノベーション創出事業費補助金/山梨県商工会連合会 やまなしイノベーション創出事業費補助金/甲州市 小規模企業者持続化補助金/GビズID/日本商工会議所 商工会議所検索
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。