広告の基本読了 約11分

広告・HP・SNS・動画の窓口を一つにすると何が変わる?
メリット・デメリット

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 3件を記事の最後に掲載
打ち合わせテーブルで資料を広げ、ペンを手に相談する人たちの手元

広告は代理店、ホームページは制作会社、SNSは運用代行、動画は映像の会社。気がつけば、連絡先が4つになっていませんか。それぞれに同じ説明をして、素材を受け渡して、出てくる数字もばらばら。この記事では、別々に頼むときに起きやすいことと、窓口をまとめると変わることを整理します。まとめないほうがよい場合や、依頼先を選ぶときの確認点も紹介します。

01別々の会社に頼むと、どんな困りごとが起きる?

デスクで電話を受けながら書類に手を添えるスーツ姿の人

広告、ホームページ、SNS、動画。どれも会社のことを「伝える」仕事ですが、分野ごとに専門の会社があります。必要になった順に頼んでいくと、窓口は自然に増えていきます。

窓口が分かれていると、次のようなことが起こりえます。

1つずつは小さな手間に見えます。ただ、担当者が1人で4社とやりとりする状態が続くと、本来の仕事の時間が少しずつ削られていきます。広告やSNSの担当を、ほかの仕事と兼ねている会社では、この負担はなおさら大きくなります。

もう1つ見落としやすいのが、会社どうしの「すき間」です。たとえば、広告で「冬の限定メニュー」を出したのに、ホームページにはまだ載っていない。どちらの会社も自分の担当はきちんとこなしていても、つなぎ目を見る人がいないと、こうしたずれが起きます。

02なぜ今、窓口をまとめる意味が大きいのか?

まとめる意味が大きくなった背景には、広告の中心がネットと動画に移ってきたことがあります。電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月公表)では、インターネット広告費が総広告費の50.2%となり、初めて半分を超えました。

動画の広告も大きく伸びています。同じ日に公表された詳細分析では、ネットの動画広告は1兆275億円(前年比121.8%)で、初めて1兆円を超えました。

ネット広告の媒体費が伸びた理由として、動画広告、中でもSNS上の縦型動画広告の伸びが挙げられています。また電通の発表によると、テレビ局が関わる動画配信に流れる広告(テレビメディア関連動画広告)も、805億円(前年比123.3%)に増えました。

いまの広告は、1回の撮影から「どこで、どの形で見せるか」を組み合わせて考えるようになっています。縦型の短い動画はSNSへ。横型の動画はTVer広告やホームページへ。写真は求人票やチラシへ。

この組み合わせを生かすには、撮る前に、使う場所を全部決めておく必要があります。窓口が別々だと、この「撮る前の設計」を誰も担当しないまま進みやすくなります。SNSごとの形の違いは「企業のSNSの使い分け」、テレビ画面に流れるネット広告は「コネクテッドTV広告とは?」で紹介しています。

03窓口を一つにすると、何が変わる?

窓口をまとめたときの変化は、大きく4つです。

  • 方針がそろう:誰に、何を、どんな言葉で伝えるかを1か所で決めるので、広告とホームページとSNSで言うことがずれにくくなります。
  • 撮影を使い回せる:1回の撮影から、広告用、SNS用、ホームページ用、採用用を作り分けられます。
  • 手間が減る:連絡、説明、素材の受け渡しが1本になります。
  • 数字を通しで見やすくなる:広告を見た人がホームページに来て、問い合わせたかどうかまでを一続きで追いやすくなります。

4つ目の「数字」は、見落とされやすいところです。広告の会社は再生回数を、SNSの会社はフォロワー数を、ホームページの会社はアクセス数を報告する。それぞれの数字は正しくても、問い合わせや来店につながったかが分からないことがあります。

窓口が一つなら、「広告を出した週に、ホームページの問い合わせが何件増えたか」まで同じ表にまとめやすくなります。効果が出ないときも、どこで止まっているのかを探しやすくなります。測り方の基本は「広告の効果はどう測る?」にまとめています。

041回の撮影は、どこまで使い回せる?

木漏れ日の差す緑の木々の間で、三脚に据えた撮影用カメラ

窓口をまとめたときに差が出やすいのが、撮影です。撮影の日は、出演する人の予定を合わせ、場所を整え、機材とスタッフを動かします。この段取りを1回にまとめられると、時間も費用も抑えやすくなります。

どこに使うかを先に決めておくと、撮影の当日に「縦の画も押さえておく」「社員の話を長めに撮っておく」といった工夫ができます。1日の撮影から作れるものの例は、次のとおりです。

使う場所画面の形中身の例
TVer広告・YouTube広告横型15秒・30秒にまとめた会社や商品の紹介
ホームページ横型1〜2分の会社紹介、サービスの流れ
Instagram・TikTok・YouTubeショート縦型作業の手元、スタッフのひと言、季節の様子
採用ページ・求人サイト横型・縦型社員インタビュー、1日の流れ
チラシ・パンフレット写真動画と同じ日に撮った写真

山梨には、桃やぶどうの季節、紅葉、富士山がよく見える冬の朝など、撮れる時期が限られる景色が多くあります。年に一度の場面を、すべての用途の分まで撮っておけるのも、まとめて頼む利点です。

使い回すときは、契約で「どこに、いつまで使えるか」を決めておきます。社員が出る場合は、出演の同意も必要です。詳しくは「動画制作の依頼の流れと見積書の見方」と「社員を動画に出すときの同意書」をご覧ください。

業種別に見ると

1回の撮影をどう使い回すかは、業種によっても変わります。考え方の例をまとめました。

旅館・ホテル客室や料理、温泉、周りの景色を撮る日に、横型の紹介動画と縦型のリール、予約ページ用の写真を一緒に撮っておけます。スタッフの働く姿も撮っておけば、同じ素材を求人にも使えます。
ワイナリー・果樹農家収穫や仕込みは、年に一度しか撮れない場面です。畑や作業の手元を、通販ページの写真、SNSの縦型動画、観光客向けの紹介動画の分まで同じ日に押さえておきます。外国人のお客様向けに、言葉に頼らない映像を作るときにも使えます。
工務店完成した家は、引き渡しの前の限られた日にしか撮れないことがあります。その日に、ホームページの施工事例の写真から、見学会を知らせる広告やSNSの動画、職人の仕事を見せる採用向けの映像まで撮っておきます。そうすれば、1軒の家をいろいろな場面で紹介できます。

05まとめないほうがよいのは、どんな場合?

窓口をまとめることが、いつでも正解とは限りません。次のような場合は、分けておくほうがよいこともあります。

  • 専門性がとくに必要な分野:医療や健康食品のように広告の決まりが細かい分野や、大きなネット通販の広告運用など。
  • すでにうまく回っている分野:今の会社と長く付き合い、成果も出ているなら、無理に替える理由はありません。
  • 社内に担当者とノウハウがある:SNSを社内で続けられているなら、撮影だけ外に頼む形も選べます。
  • 1社に頼りきるのが心配:担当者が替わったときや、会社が合わなかったときの影響が大きくなります。

全部まとめるか、全部分けるかの二択で考えなくてもかまいません。方針づくりと撮影だけを一つの窓口に任せ、ホームページの更新は今の会社に続けてもらう、といった組み合わせもできます。

費用の面では、窓口の会社が別の会社に頼む部分があれば、その分の管理の費用がかかることもあります。手数料の仕組みは「広告代理店に頼むと何が変わる?」で紹介しています。

06依頼先を選ぶとき、何を確かめる?

窓口を一つにまとめるなら、最初の打ち合わせで次の点を確かめておくと、あとで困りにくくなります。

確かめること聞き方の例見るところ
自社でやる範囲撮影・編集・デザインは社内ですか外に頼む部分と、その会社の名前
担当者窓口は誰で、どこまで決められますか連絡がつく人と、答えが返る早さ
実績同じ業種・規模の制作物はありますか実際の動画やページを見られるか
見積もりの内訳何にいくらかかりますか媒体費・制作費・手数料が分かれているか
数字の報告何の数字を、いつ報告しますか問い合わせや来店まで見る計画か
権利と引き継ぎ素材やアカウントは誰のものですか契約を終えても自社に残るか

中でも大事なのが、1つ目の「自社でやる範囲」です。一つの窓口でも、中身は別の会社が作っていることがあります。それ自体は悪いことではありませんが、誰が実際に作るのかを知っておくと、品質や納期の相談がしやすくなります。

07まとめても、自社に残しておくことは?

木の机の上にケーブルをつないで置かれた外付けハードディスク

窓口を一つにしても、すべてを任せきりにするのはおすすめしません。次のものは、自社の手元に残しておきます。

  • アカウントとログイン情報:SNSや広告の管理画面は、自社の名義で作る。
  • ドメインとサーバーの契約:ホームページの住所にあたる部分は、契約者を自社にしておく。
  • 元の素材データ:撮影した動画や写真のデータを受け取れるようにしておく。
  • 最後の判断:何を言うか、何を言わないかは、自社で決める。

こうしておけば、もし依頼先を替えることになっても、アカウントや素材を一から作り直さずに済みます。アカウントの管理は「会社のSNSの乗っ取り対策とアカウントの管理」でも紹介しています。

契約の中身や、どこまで頼むかに迷ったときは、公的な窓口も使えます。山梨県のホームページでは、山梨県よろず支援拠点や商工会議所など、中小企業の経営相談の窓口が紹介されています。契約書の細かい判断は、弁護士などの専門家に確かめてください。

ホマレグラフ株式会社では、映像の企画・撮影・編集からTVer広告やSNS運用、Webや印刷物のデザインまで、まとめてご相談いただけます。

08よくあるご質問

Q一つの会社にまとめると、費用は高くなりますか?
A

一概には言えません。撮影をまとめれば、段取りの費用は抑えやすくなります。一方で、窓口の会社が別の会社に頼む部分には、管理の費用がかかることもあります。合計額だけでなく、何にいくらかかるかの内訳で比べてください。

Q今のホームページの会社と契約したまま、ほかだけまとめられますか?
A

できます。その場合は、新しい窓口の会社に、ホームページの会社の連絡先と更新の流れを伝えておきます。広告やSNSで新しく出す内容を、ホームページにも早めに反映してもらえるよう、3者で方針を共有しておくと安心です。

Qまとめた会社と合わなかったら、どうなりますか?
A

アカウントやドメインを自社の名義にし、元の素材データを受け取っていれば、ほかの会社に引き継げます。契約の前に、解約の決まりと、終わったあとに何が自社に残るかを確かめておきましょう。

Qホマレグラフには、どこまでまとめて相談できますか?
A

映像の企画・撮影・編集、TVer広告、SNS運用、Webや印刷物のデザインを、一つの窓口でご相談いただけます。CG・イベント・ライブ配信・デジタルサイネージにも対応しています。ほかの広告媒体も、媒体の選び方からご相談いただけます。Ad Arch グループ(全国24拠点)の一員として、TVer広告の正規代理店ネットワークも生かします。

まとめ

広告・ホームページ・SNS・動画を別々に頼むと、手間が増え、方針や数字がばらばらになりやすくなります。窓口を一つにすれば、方針がそろい、1回の撮影を前もって設計して使い回せ、問い合わせまでの数字も通しで見やすくなります。ただし、専門性が必要な分野やうまく回っている分野は無理にまとめず、アカウントと素材は自社に残しておきましょう。

参考:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)/CARTA HOLDINGS・電通ほか「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日)/山梨県 相談窓口の案内「仕事・産業」

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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