SNSのプレゼント企画、何に気をつける?
景品の上限・規約・応募者の個人情報

「フォローといいねで、抽選で5名様にプレゼント」お店や会社のSNSで見かける企画です。手軽に始められる一方で、景品の金額や応募の条件、当選者の住所の扱いなど、気になる点もあるのではないでしょうか。この記事では、景品表示法、SNSの規約、個人情報保護法の3つから、企画の前に確かめたいことを公式の資料で整理します。その企画、どのルールに当たるでしょうか。
01プレゼント企画には、どんなルールがある?
SNSのプレゼント企画で関わるルールは、大きく3つあります。SNSの投稿はフォロワーの外まで広がるため、どれか一つでも抜けていると、思わぬ人から指摘を受けるおそれがあります。
この3つは、見ている点が違います。景品表示法は景品の金額、SNSの規約は応募のさせ方、個人情報保護法は集めた情報の扱いです。「法律上は大丈夫でも、規約に合わない」ということも起こります。
なお、商品の感想を投稿してもらう企画では、広告であることの表示も考える必要があります。ステマ規制については「小さな会社のSNS炎上対策」で紹介しています。
02その企画は、景品表示法の「景品」にあたる?
景品表示法でいう「景品類」は、お客様を引きつけるために、商品やサービスの取引に付随して提供する物やお金のことです。取引に付随しないプレゼントには、景品の上限の規制はかかりません。
消費者庁の「景品に関するQ&A」では、SNSの企画について、次のような考え方が示されています。
| 企画の例 | 消費者庁の考え方 |
|---|---|
| フォローといいねで応募。賞品は郵送 | ほかに取引につながる事情がなければ、景品規制の対象外(Q18) |
| 商品の写真や使った感想を投稿すると当選確率2倍 | 商品を買う可能性が高く、取引に付随する。一般懸賞の規制の対象(Q19) |
| 友だち登録で応募。賞品は店で受け取る | 来店が必要なので取引に付随する。来店した当選者にもれなく渡す形なので、総付景品の規制の対象(Q20) |
| 商品のパッケージに応募方法を印刷。購入は不要 | 商品を買った人を主な対象としていて、取引に付随する(Q22) |
つまり、同じ「フォローで応募」でも、来店や購入につながる条件が加わると、景品の規制がかかることがあります。店頭で受け取る形にしたい企画は、特に注意が必要です。
迷ったときは、次の3つを確かめます。応募するのに、買い物や来店が必要か。賞品を受け取るのに、来店が必要か。商品を買った人のほうが、応募しやすくなったり当たりやすくなったりしないか。どれか一つでも当てはまれば、景品の上限を確かめましょう。
03景品の上限は、いくらまで?
取引に付随する景品は、渡し方によって上限が決まっています。抽選などで当たった人に渡す「一般懸賞」と、買った人や来た人の全員に渡す「総付景品」です。
たとえば、3,000円のランチを食べた人の中から抽選で景品を渡すなら、1つあたりの最高額は3,000円の20倍の6万円です。景品の総額は、企画の期間中の売上予定の総額の2%までです。
買った人の全員に渡す総付景品なら、1,500円の商品につける景品は、その10分の2の300円までです。1,000円未満の商品なら、200円までになります。なお、総付景品では、次のようなものは景品類にあたらず、景品の規制はかかりません。
- 自店や、自店とほかの店で共通して使える割引券
- 見本や、宣伝用の品物
- 開店や創業記念などで配る品物
ただし、割引券でも抽選で当たった人に渡すなら、一般懸賞の景品として上限がかかります(Q46)。
購入を条件にせず、来店した人の中から抽選する場合は、取引の金額を原則100円として考えます。1つあたりの最高額は、原則2,000円です(Q88)。ただし、その店のいちばん安い商品が100円を超えるなら、その金額をもとに計算できます。
商店街など、地域の店がまとまって行う「共同懸賞」は、最高額30万円、総額は売上予定の3%までです。
04InstagramとXの規約では、何が決まっている?
SNSで企画をするときは、そのSNSの規約にも従う必要があります。主なものを、2026年10月時点の公式ヘルプから抜き出しました。
Instagramのプロモーションガイドラインは、企画を運営する責任は主催者にあるとしています。応募資格などのルールを決め、法律を守ること。写っていない写真に自分をタグ付けさせるなど、誤ったタグ付けを促さないこと。そして、応募者がInstagramの責任を免除すること、企画がInstagramと関係がないことを明記するよう求めています。
X
Xの「キャンペーン実施についてのガイドライン」は、次のことを挙げています。
- 複数のアカウントで応募した人は、当選の資格を失うと明記する
- 「いちばん多くリポストした人に賞品」のように、同じ投稿をくり返させない
- 応募の投稿に、主催者の@ユーザー名を入れてもらう
- ハッシュタグは、投稿の内容に関係のあるものにする
規約は変わることがあります。企画を始める前に、使うSNSのヘルプを確認しましょう。
応募要項は、投稿の文章に詰め込むと読みにくくなります。投稿には要点だけを書き、詳しいルールはホームページの1ページにまとめてリンクを貼る形にすると、あとから見直すときにも便利です。
05応募者の住所や名前は、どう扱う?

当選者に賞品を送るには、名前や住所を聞くことになります。個人情報保護法は、会社の規模にかかわらず、個人情報を扱う事業者に適用されます。
個人情報保護委員会のQ&A(Q4-17)では、懸賞で聞いた連絡先を、抽選や賞品の連絡・発送だけに使う場合は、使う目的が明らかなので、改めて示さなくてよいとされています。一方で、新しい商品の案内など、ほかの目的にも使うなら、先に伝える必要があります。
- 取得の状況から目的が明らかとされる
- 改めて目的を示さなくてよい(Q4-17)
- 使い終えたら、決めた時期に消す
- 新しい商品の案内やメールマガジンなど
- 応募の前に、使う目的をはっきり示す
- 応募する人が選べるようにすると親切
応募要項には、たとえば「いただいた個人情報は、抽選と賞品の発送、それに関するご連絡だけに使います」のように書いておきます。メールマガジンを送るなら、その目的もここに書き、応募する人が選べるようにしておくと親切です。
DMで住所を送ってもらう場合も、どの端末で、だれが見られるかを決めておきましょう。応募の人数が多い企画では、入力フォームを用意すると、集めた情報をまとめて管理しやすくなります。
個人データの漏えい(またはそのおそれ)が起き、本人の数が1,000人を超える場合などは、個人情報保護委員会への報告が義務になります(2026年10月時点)。賞品を送り終えたら、いつ消すかも決めておくと安心です。
当選の連絡は、主催者の公式アカウントから、告知に書いた方法で行いましょう。連絡の方法をあらかじめ書いておくと、主催者をよそおった別のアカウントにだまされる人を減らせます。
06企画を始める前に、何を決めておく?
ここまでの内容を、応募要項(企画のルール)にまとめておくと、問い合わせにも答えやすくなります。
当選者の数は、告知したとおりにしましょう。消費者庁のQ&A(Q87)では、実際の当選者が告知した数に満たない場合、取引条件の不当表示になるおそれがあるとしています。抽選の方法そのものに決まりはありませんが、告知と違う方法で選ぶのは適切ではないとされています。
山梨では、ぶどうや桃、ワインなど季節の特産品を賞品にする企画も考えられます。ワインなどのお酒を贈るなら、応募の資格を20歳以上に限ることを要項に書いておきましょう。生ものは、送れる地域や時期も先に決めておくと、当選後のやりとりがスムーズです。
この記事は一般的な考え方の紹介です。景品の金額が大きい企画や、判断に迷う条件があるときは、弁護士などの専門家に確認してから始めましょう。
業種別に見ると
同じプレゼント企画でも、業種によって気をつける点が変わります。考え方の例をまとめました。
07よくあるご質問
Qフォローとリポストだけの企画なら、景品はいくらでもいいですか?
購入や来店につながる条件がなく、賞品を郵送するなら、景品の上限の規制は原則かかりません(消費者庁Q&A Q18)。このような「オープン懸賞」には、金額の上限の定めもありません。ただし、SNSの規約や個人情報の扱いは別に守る必要があります。
Q来店した人だけが応募できる企画にしたいのですが。
来店が条件になると、取引に付随する景品として扱われます。購入を条件にしない抽選なら、1つあたりの最高額は原則2,000円です。全員に渡すなら総付景品の上限が適用されます。
Q当選者の住所は、いつまで持っていていいですか?
法律で一律の期間は決まっていません。使う目的が終わったら、遅くならないうちに消すのが基本です。問い合わせへの対応のために残す期間を決め、応募要項に書いておくと安心です。
Qプレゼント企画の告知の投稿や動画を作ってもらえますか?
はい。告知の画像や短い動画の制作、応募要項の整理、SNSの運用まで相談できます。景品の金額など法律の判断が必要な点は、専門家への確認をおすすめします。ご相談・お見積もりは無料です。
SNSのプレゼント企画は、景品表示法、SNSの規約、個人情報保護法の3つで考えます。フォローといいねだけで郵送なら景品の上限は原則かかりませんが、来店や購入につながる条件が加わると、懸賞や総付景品の上限がかかります。応募のさせ方はSNSの規約に合わせ、住所は目的の範囲で使って、終わったら消す。応募要項に書いたとおりに運営するのが基本です。
参考:消費者庁「景品に関するQ&A(一般懸賞について)」(Q18〜Q22、Q46、Q87、Q88)/消費者庁「景品規制の概要」/消費者庁「よくわかる景品表示法と公正競争規約」/Instagramヘルプセンター「プロモーションガイドライン」/Xヘルプセンター「キャンペーン実施についてのXのガイドライン」/個人情報保護委員会 Q&A(Q4-17 直接書面等による取得)/個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。