生成AIで動画は作れる?
会社で使えるところと、まだ人が撮るべきところ

「AIで動画を作れば、撮影しなくても安く済むのでは」そう考えたことはありませんか。けれど、動画を作る生成AIは入れ替わりが速く、半年前の情報が通じないこともあります。この記事では、2026年10月時点の主なサービスの仕様と料金、会社の動画で使えるところと人が撮るべきところ、広告に出すときの決まりを順に整理します。あなたの会社の動画は、どこまでAIに任せられるでしょうか。
01生成AIで、いま動画はどこまで作れる?
動画を作る生成AIは、文章で指示したり、写真を読み込ませたりすると、数秒から十数秒の映像を作ります。人の動きや光の具合まで、実写と見分けにくい映像も作れるようになりました。
音の面でも進んでいます。Googleは公式ページで、Veo 3.1が効果音やせりふを映像と同時に作れると説明しています。映像と音をまとめて作れることが、いまの動画生成AIの大きな特徴です。
サービスの入れ替わりは、とても速い
一方で、移り変わりの速い分野でもあります。OpenAIは、動画生成のSoraについて、アプリとWeb版を2026年4月26日に、開発者向けの提供(API)を9月24日に終了しました。
Googleも、開発者向けに出していたVeo 3.1の試験版の提供を2026年10月22日に終え、新しいGemini Omni Flashへの移行を案内しています。比較記事やまとめサイトの情報は、すぐに古くなると考えておきましょう。この記事の内容も、2026年10月時点のものです。
02主なサービスは、何が違う?
2026年10月時点で、会社でも使いやすい主なサービスを、各社の公式ページで確かめた範囲でまとめました。料金は各社の公表価格です。
| サービス | 1本の長さ・画質 | 音 | 料金の例 | 商用での利用 |
|---|---|---|---|---|
| Gemini Omni Flash(Google) | 1回10秒。延長して合計40秒まで。720pが標準で、1080p・4Kに高画質化できる(開発者向け) | Geminiアプリでは、音声つきで作るよう指示できる | Google AI Plus 月725円(Google Flowのクレジット200)。開発者向けは720pで1秒約0.10ドル | 作った内容の所有権をGoogleは主張しないと、利用規約に記載 |
| Veo 3.1(Google) | 1本8秒。1080p・4K | 効果音やせりふも同時に作れる | Google AI Ultra(月14,500円から)などで使える | 使う窓口(Google、Adobeなど)の規約による |
| Firefly(Adobe) | 多くのモデルで8秒まで、一部は15秒。最大4KのMP4で保存できる | 対応するモデルで、せりふや効果音を作れる | Firefly Standard 月1,580円(税込。5秒の動画なら20本まで) | 自社のモデルは商用利用を前提に設計。他社のモデルは条件が別の場合あり |
| Runway | 自社のGen-4.5のほか、Kling 4.0などのモデルも選べる | モデルによる | 無料プラン(初回125クレジット)。Standard 月12ドル(年払い) | Runwayの側では非商用の制限を設けないと、公式ヘルプで説明 |
GoogleのGemini Omni Flashは、2026年のGoogle I/Oで発表されたモデルです。Geminiアプリと、映像づくりのツール「Google Flow」で使えます。YouTubeショートとYouTube Createアプリでは、無料で使えると案内されています。
Geminiアプリで動画を作るには、Google AIの有料プランが必要で、18歳未満は使えません。AdobeのFireflyでは、自社のモデルのほか、Veo 3.1やRunwayのGen-4.5なども選べます。ただし、他社のモデルは、利用の条件が別になる場合があるとAdobeは案内しています。
どのサービスも、料金やできることは予告なく変わります。使う前に、そのときの公式ページと利用規約を確かめるのが基本です。
03会社の動画で、AIが向いているのはどこ?
AIが得意なのは、実在しなくても困らない映像です。見る人が「本物かどうか」を気にしない場面なら、撮影の手間を減らせる可能性があります。
中でも取り入れやすいのが、撮影前の絵コンテやイメージ映像です。「こんな雰囲気で」と言葉で伝えるより、短い映像を見せたほうが、社内でも制作会社との間でも話が早く進みます。社内の検討に使うだけなら、表示の問題も起きにくくなります。
実在しない場面は、CGが得意としてきた分野でもあります。AIは短い時間で雰囲気をつかむのに向き、CGは形や寸法を正確に見せるのに向いています。CGの使いどころは「CG・3DCGの映像は何に向いている?」で紹介しています。
長い動画を丸ごと作るのは、まだ難しい
主なサービスで1回に作れるのは、多くが8〜10秒ほど、長いものでも15秒ほどです。延長はできても、つないだときに人の顔や服、商品の形をそろえるのは、まだ手間のかかる作業です。
そのため、1本の動画をAIだけで作るより、実写の中に部分的に使うほうが、いまは扱いやすい方法です。
04まだ人が撮るべきなのは、どんな場面?

反対に、本物であることに意味がある映像は、人が撮るべきです。AIは、それらしい映像は作れても、あなたの会社の本当の姿は知りません。
- 撮影前の絵コンテやイメージ映像
- 場所を特定しない背景
- 実在しない、想像の場面
- 実写の合間の短いカット
- 実在のお店・施設・工場
- 販売している商品そのもの
- 社長や社員の顔と言葉
- 山梨の実際の景色や季節
- お客様の様子
商品やお店は、実物と違って見えないように
景品表示法は、商品やサービスの品質などを、実際より著しく良く見せる表示(優良誤認)を禁じています。AIで作った映像でも実写でも、料理や客室が実物より豪華に見えれば問題になりえます。
「映像はイメージです」の一言で済むとは限らない点も含め、詳しくは「生成AIで作った画像・文章を広告に使うときの注意」で整理しています。
山梨の景色は、本物を撮る
富士山、桃の花、ぶどう畑。山梨の会社やお店にとって、景色は大切な看板です。AIで作った「富士山のような山」では、見る人に本当の場所は伝わりません。
YouTubeは、実在の場所にAIで作った映像を加えた動画を、開示が必要な例に挙げています。地域の景色は、その季節に、その場所で撮るのが、誤解のない伝え方です。
社員の言葉は、本人の言葉で
採用動画や会社紹介で大切なのは、社員が自分の言葉で話す姿です。AIで作った顔や声に話をさせれば、それは社員本人の言葉ではなくなります。
YouTubeも、実在の人が言っていないことを言ったように見せる動画を、開示が必要な例に挙げています。社員の顔や声をAIで加工するなら、事前に本人の同意を得ておきましょう。同意の取り方は「社員を動画に出すときの同意書」をご覧ください。
05広告に出すとき、媒体のAIの決まりは?
AIで作った映像を広告やSNSに出すときは、媒体ごとの決まりも確かめます。2026年10月時点の主な媒体の決まりをまとめました。
YouTube:本物に見えるかが分かれ目
YouTubeは、ユニコーンに乗る人のような非現実的な映像や、色の調整・字幕などの軽い編集なら、開示は不要としています。台本づくりやアイデア出しにAIを使った場合も同じです。本物と見間違えるかどうかが分かれ目です。
開示を繰り返し意図的に怠ると、YouTubeがラベルを付けたり、動画を削除したりすることがあります。一方で、開示しただけで動画を届ける範囲が狭まったり、収益化に影響したりすることはないと説明しています。
Google広告とMeta:ラベルの仕組みが広がっている
Google広告のAIラベル設定は、EU、インド、ニューヨークのAI規制に対応するためのもので、案内には日本についての記載はありません。ただし、AIで作った素材にも、通常と同じ基準と審査が適用されます。Google広告のAI機能で作った画像についても、使う前に内容が正確か確かめるよう求めています。
Metaは、自社の生成AIツールで作った、または大きく編集した広告に「AI情報」のラベルを付けています。2026年6月の更新では、他社のAIで作った広告も業界共通の情報をもとに自動で見つけ、ラベルを付け始めるとしています。表示は地域によって異なる場合があります。
TVer:放送局ごとの審査を通る
テレビ画面にも流れるTVer広告は、各放送局の審査を通ってから配信されます。TVer社によると、基準は地上波のテレビCMとおおむね同じで、素材の事前審査は受け付けていません。
AIで作った場面を使うなら、企画の段階で代理店に伝えておくと安心です。審査の流れは「TVer広告の審査とは?」をご覧ください。
06AIを使えば、動画は安く作れる?

月額のプランには、数百円から数千円で始められるものもあります。けれど、動画の費用は、ツールの料金だけでは決まりません。
AIの映像は、1回で思いどおりになるとは限りません。指示を変えて作り直したり、良いカットを選んだりする時間がかかります。プランのクレジット(使える量)も、作るたびに減っていきます。
さらに、AIの部分を実写とつなぐ編集や、文字・ナレーション・音量の調整は、これまでどおり人の仕事です。事実や権利の確認も同じです。安くなるのは撮影の一部で、動画づくり全体ではないと考えておくと、見込み違いを防げます。
実写とAIを組み合わせる流れ
実写とAIを組み合わせるときは、次の順番で進めると、撮るところとAIに任せるところを整理しやすくなります。
費用を抑えたいなら、まずAIでイメージ映像を作って方向を決め、撮影の場面や日数を絞る方法があります。撮影を減らすより、撮影を無駄にしないためにAIを使う考え方です。
制作会社に頼む場合は、どの場面にAIを使うか、AIの部分の権利をどう扱うかを、見積もりの段階で確かめておきましょう。依頼の流れは「動画制作の依頼の流れと見積書の見方」で紹介しています。
07使う前に、社内で何を決めておく?
国の「AI事業者ガイドライン」(総務省・経済産業省、2026年3月に第1.2版)は、事業の中でAIのサービスを使う会社を「AI利用者」と位置づけています。仕事で動画生成AIを使うなら、小さな会社でもこの立場にあたります。
大がかりな規程は要りません。まずは、次の点を簡単に決めておきましょう。
- だれが、どのサービスとプランを使ってよいか
- AIに入れてはいけないもの(お客様の個人情報、他社の作品、取引先の資料など)
- 作った日、使ったサービス、指示(プロンプト)の記録の残し方
- 実在の人の顔や声を使うときの、本人の同意の取り方
- 公開の前に、実物との違いや媒体の決まりを確かめる人
著作権の考え方は、文化庁の審議会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)などで示されています。だれかの作品に似ていないかの確かめ方は、先に紹介した生成AIの画像・文章の記事をご覧ください。
GoogleのGemini Omniで作った動画には、目に見えない電子透かし「SynthID」が入ります。AIで作ったことは、あとから調べられる場合があると考えて、正直に使うのが安全です。
この記事は、2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な紹介です。法律の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家や、各サービスの窓口に確認してください。
08よくあるご質問
QAIだけで、会社紹介の動画を1本作れますか?
作ること自体はできます。ただ、2026年10月時点の主なサービスで1回に作れるのは長くても15秒ほどで、つないだときに見た目をそろえる手間がかかります。会社の実際の姿を伝える動画なら、実写を中心にし、AIは部分的に使うほうが向いています。
QAIで作った動画には「AI」と表示しないといけませんか?
広告にAIで作ったと書くことを一律に求める日本の法律は、2026年10月時点では見当たりません。ただし、YouTubeやMetaのように、媒体の決まりで開示やラベルが求められる場合があります。本物と見間違える映像は、開示する前提で考えましょう。
Q無料で試せるサービスはありますか?
たとえばGoogleは、YouTubeショートとYouTube CreateアプリでGemini Omni Flashを無料で使えると案内しています。Runwayにも、初回に125クレジットが付く無料プランがあります。仕事で使う場合は、プランごとの条件を確かめてください。
QAIの映像と実写を組み合わせた動画を相談できますか?
はい。どの場面を撮影し、どこにAIやCGを使うかの切り分けから相談できます。撮影・編集から、広告やSNSでの配信まで一緒に考えます。ご相談・お見積もりは無料です。
動画を作る生成AIは、映像と音をまとめて作れるようになりました。一方で、サービスの入れ替わりが速く、1回に作れるのは長くても15秒ほどです(2026年10月時点)。絵コンテやイメージ映像、背景、実在しない場面、短い差し込みには向いています。
実在のお店や商品、社員の言葉、山梨の実際の景色は、人が撮るべきところです。AIは撮影の代わりではなく、実写を生かすために使いましょう。公開の前には、媒体の決まりと利用規約を確かめてください。
参考:Google DeepMind「Veo」/Gemini API ドキュメント「Veo」(2026年10月22日更新)/Google「Introducing Gemini Omni」/Google「Start building with Nano Banana 2 Lite and Gemini Omni Flash」(2026年6月30日)/Google「Gemini Omni 1.1 Flash」(2026年8月27日)/Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリで動画を生成する」/Google AI のプラン/Gemini API ドキュメント「Pricing」/Google 利用規約/OpenAI ヘルプ「What to know about the Sora discontinuation」/OpenAI「Deprecations」/Adobe Firefly「AI動画生成」/Adobe Firefly のプラン/Runway「Pricing」/Runway ヘルプ(商用利用)/YouTubeヘルプ「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」/Google 広告ポリシー ヘルプ「AI ラベルに関する要件の更新(2026 年 7 月)」/Google 広告 ヘルプ「Google 広告で生成される画像について」/Meta「Expanding GenAI Transparency for Meta's Ads Products」(2025年2月、2026年6月更新)/TVer広告「よくあるご質問」/消費者庁「優良誤認とは」/文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)/総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日)
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。