生成AIで作った画像や文章、広告に使っていい?
著作権・表示・利用規約と、制作会社に頼むときの確認

チラシの背景、SNSの画像、ホームページの文章。生成AIを使えば、数分で形になります。便利な一方で、「だれかの作品に似ていたら」「AIで作ったと書くべき?」と迷うことはありませんか。この記事では、文化庁の考え方、広告の表示、各サービスの利用規約、制作会社に頼むときの確認を順に整理します。その画像、だれの作品とも似ていないと言えますか。
01生成AIの画像は、広告に使える?
生成AIで作った画像や文章を広告に使うことは、法律で一律に禁じられているわけではありません。ただし、使い方によっては、著作権や広告のルールの問題になることがあります。
文化庁は、AIと著作権の関係を「AIの開発・学習」と「生成・利用」の段階に分けて説明しています。広告に使う会社に関わるのは、主に後者です。
- 私的に使う、社内で検討するための生成は、許可なくできる場合がある
- サービスの規約に沿って使う
- 指示(プロンプト)を記録しておく
- ネットで公開する、印刷して配るのは別に確認が必要
- 既存の作品に似ていないかを確かめる
- 実物と違う印象を与えないかを見る
文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月)は、社内の検討のために作るだけなら許可なくできる場合でも、ネットで公開したり印刷して配ったりする段階では、改めて確認が必要としています。つまり、作るときより、使うときのほうが大切です。
撮影の手間や素材代を減らせるのは、小さな会社にとって大きな利点です。背景の模様や季節の飾り、説明用の図など、事実を伝える必要のない部分から使い始めると、問題になりにくいでしょう。
02だれかの作品に似てしまったら、どうなる?
文化庁によると、AIを使って作った画像でも、著作権の侵害になるかどうかは、人が描いた場合と同じように判断されます。ポイントは、既存の作品と似ていること(類似性)と、それをもとにしていること(依拠性)の2つです。
気をつけたいのは、使った人が元の作品を知らなくても、侵害になることがある点です。AIは学習した作品に似たものを出すことがあるためです。
また、指示の仕方によっては、元の作品をもとにしたと見られやすくなります。チェックリストでは、次のような使い方が挙げられています。
使う前にできることは、2つあります。画像検索や文章検索で、似たものがないかを確かめること。そして、どんな指示(プロンプト)で作ったかを記録しておくことです。指示の記録は、元の作品をもとにしていないと説明するときの材料になります。
手元の画像をAIに読み込ませて作り変える使い方にも注意が必要です。チェックリストでは、読み込ませた画像に似たものを作る目的で入力するなら、その画像の権利者の許可が必要になる場合があるとしています。他社のチラシやネットで見つけた写真を読み込ませるのは避けましょう。
03AIで作った画像に、自社の著作権はある?
反対に、AIで作った画像を他社にまねされたら、自社の権利を主張できるでしょうか。文化庁の考え方では、AIへの指示がアイデアにとどまる場合、その画像は著作物とは認められないとされています。
一方で、表現を具体的に示す指示や、結果を見ながらの指示の修正など、人の創作的な関わりがどの程度積み重なっているかで判断されます。人が手を加えて、表現として作り込んだ部分は、ふつう著作物と認められると考えられています。
気をつけたいのは、長く使うものです。会社のロゴやお店のキャラクター、商品のパッケージをAIだけで作ると、似たものを他社に使われても、著作権では止めにくいかもしれません。こうした大事なものは、人が手を入れて仕上げるほうが安心です。
04広告の表示では、何に気をつける?

広告では、著作権とは別に、お客様に誤解を与えないかも見られます。景品表示法は、品質や内容を実際より良く見せる表示を禁じています。AIで作ったかどうかではなく、見た人が受け取る印象が、実際と合っているかが問われます。
たとえば、次のような使い方は、実物と比べて見直しが必要です。
- 実際より豪華に見える、AIで作った料理や客室の画像
- 実際の施工例のように見える、AIで作ったリフォームの仕上がり
- 実在しないお客様の写真や声を、本当の利用者のように見せる表示
AIの画像を使うなら、実物の写真と並べて見比べ、色や量、広さが実際とかけ離れていないかを確かめましょう。お客様が来店して「写真と違う」と感じれば、法律の問題になる前に信用を失います。
「画像はイメージです」と小さく書けば済むとは限りません。消費者庁は、強調した表示と打ち消す表示が矛盾する場合や、文字が小さい、離れている、表示の時間が短い場合は、問題になるおそれがあるとしています。言葉の根拠の考え方は「「No.1」「地域最安」は広告に使える?」で紹介しています。
SNSや動画サイトの「AIの表示」
媒体ごとに、AIで作ったことを示すルールもあります。YouTubeは、本物と見間違えるような改変・合成をした動画には、投稿のときに開示を求めています。くり返し開示しないと、ラベルの付与や動画の削除などの対象になることがあります。
Metaも、FacebookやInstagramで、AIで作った画像などに「AI情報(AI info)」のラベルを付ける取り組みを進めています。自社の広告にAIの画像を使うときは、媒体の最新のルールを確かめましょう。
05各サービスの利用規約は、どこを読む?
文化庁のチェックリストは、使うAIサービスの利用規約を確認し、それに従って使うことを求めています。サービスごとに条件が違うため、少なくとも次の点は確かめておきましょう。
| 確かめること | 規約の例 |
|---|---|
| 商用に使えるか | 無料と有料のプランで条件が違うことがある |
| 作ったものの権利 | OpenAIは、出力はお客様が所有するとしつつ、ほかの人にも似た出力が出る場合があるとしている |
| 試験版の機能 | ベータ版(試験版)の機能は、正式版と商用利用の条件が違うことがある |
| 正確さの責任 | OpenAIは、出力が常に正確とは限らず、使う前に人が確認するよう求めている |
| 入力してよい情報 | お客様の個人情報や取引先の資料を入れてよいか |
表の例は、2026年10月に各社の公式ページで確かめた内容です。OpenAIの規約は、AIが作ったものを人が作ったと表示することも禁じています。
規約は、予告なく変わることもあります。広告に使った画像は、作った日、使ったサービスとプラン、そのときの規約を記録しておくと、あとで確かめるときに役立ちます。
文章にも注意が必要です。AIが書いた紹介文には、実際と違う数字や、根拠のない効き目が混ざることがあります。広告に載せる前に、事実と数字を人の目で確かめるのが基本です。
06制作会社に頼むときは、何を確認する?

チラシや動画の制作を外に頼むとき、制作の途中でAIが使われることもあります。それ自体は悪いことではありませんが、納品後に困らないよう、次の点を先に話しておきましょう。
動画では、出演者の顔や声をAIで作り替えたり、新しい場面を作ったりすることもできるようになりました。出演した人の同意の範囲を超えないよう、AIで加工する予定があるなら、撮影の前に伝えておくことが大切です。社員の出演の同意は「社員を動画に出すときの同意書」も参考にしてください。
社内でAIを使う場合も、だれが、どのサービスを、何に使ってよいかを、簡単なルールにしておきましょう。文化庁のチェックリストも、社内ルールを決めておくことや、問題が起きたときの対応を考えておくことを勧めています。
この記事は一般的な考え方の紹介です。AIと著作権の考え方は、まだ議論が続いている分野です。大事な広告や判断に迷う場合は、弁護士などの専門家に確認しましょう。
業種別に見ると
生成AIを使ってよい場面と、避けたい場面は、業種によって変わります。考え方の例をまとめました。
07よくあるご質問
QAIで作った画像には「AI生成」と書かないといけませんか?
広告にAIで作ったと書くことを一律に求める日本の法律は、2026年10月時点では見当たりません。ただし、YouTubeのように媒体の規約で開示を求める場合があります。また、本物の写真のように見せて誤解を与えないことが大切です。
Q有名な作家の名前を入れて、画風をまねした画像を作ってもいいですか?
画風そのものは、ふつうアイデアとして扱われます。ただし、特定の作品に似た画像になれば侵害のおそれがあり、作品名などを指示に入れると、もとにしたと見られやすくなります。広告では避けるのが安全です。
QAIで書いたブログやホームページの文章は、そのまま載せてもいいですか?
そのまま載せるのは避けましょう。事実や数字が違っていることがあり、ほかの文章に似ていることもあります。人が読み直し、根拠を確かめてから載せるのが基本です。
QAIを使うかどうかも含めて、制作を相談できますか?
はい。撮影や人の手で作る部分と、AIを使える部分を分けて、使う場所に合った作り方を一緒に考えます。動画やCG、Webや印刷物のデザインまで相談できます。ご相談・お見積もりは無料です。
生成AIで作った画像や文章も、著作権は人が作ったものと同じように判断されます。使う前に似たものがないかを確かめ、指示の記録を残す。実物と違う印象を与えないかを見直し、媒体ごとのAIの表示ルールも確かめる。サービスの利用規約を読み、制作会社にはAIを使う場所と権利の扱いを先に確認する。使う前のひと手間が、知らずに違反しないための備えです。
参考:文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)/文化庁「著作権テキスト(令和8年度版)」(AIと著作権に関する基本的な考え方)/文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)/消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」/YouTubeヘルプ「改変または合成されたコンテンツの開示」/Meta「AI生成コンテンツへのラベル付けの取り組み」(2024年4月、以後更新)/OpenAI「利用規約」
山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。
この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。