山梨の風物詩読了 約8分

枯露柿(ころ柿)とは。
甲州市の冬の風物詩「柿すだれ」の時期と見どころ

執筆:木本 一心(ホマレグラフ株式会社 代表)出典 9件を記事の最後に掲載
古い家の軒先に吊るされた干し柿と、窓に映る雪の富士山

冬の山梨で、季節を感じる景色を探していませんか。甲州市では晩秋から初冬にかけて、民家の軒先にオレンジ色の干し柿がすだれのように並びます。この記事では、枯露柿(ころ柿)とはどんな干し柿か、原料の柿と作り方、柿すだれが見られる時期と場所を紹介します。歴史や見に行くときの心配りも、国や県の資料をもとにまとめました。

01枯露柿(ころ柿)とは、どんな干し柿?

枯露柿は、渋柿の皮をむいて干し、時間をかけて水分を抜いた干し柿です。「ころがき」と読みます。山梨県では甲州市や南アルプス市などで作られ、「甲州枯露柿」の名前で売られることもあります。

同じ干し柿でも、仕上がりの水分で呼び名が変わります。山梨県の資料によると、水分が25〜30%で白い粉が吹いたものが枯露柿です。50%前後で軟らかいものは「あんぽ柿」と呼ばれます。表面の白い粉は糖分の結晶だと、やまなし観光推進機構のサイトで紹介されています。

名前は、干すときの作業から生まれたといわれています。日光がまんべんなく当たるように、柿を転がして向きを変えるからです。やまなし観光推進機構のサイトでは、この作業から「転柿」「枯露柿」の名がついたとも紹介されています。

農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」では、枯露柿はしっとり肉厚で、羊羹(ようかん)のような食感だと紹介されています。干し柿の最高峰とも呼ばれ、年末年始の贈り物として人気があるそうです。

02原料の「甲州百目」は、どんな柿?

農林水産省の図鑑によると、枯露柿に主に使われるのは、甲州市産の「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」という渋柿です。もとは「甲州百匁柿」と呼ばれていました。百匁(ひゃくもんめ)は約375gのことで、甲州百目はその名のとおり大きな柿です。

重さは、やまなし観光推進機構のサイトでは1個350〜400gほど、農林水産省の図鑑では400gを超えると書かれています。関東農政局のページでは、釣り鐘のような形の大きな柿と紹介されています。この大きさが、肉厚な枯露柿のもとになります。

山梨県の食のページによると、干し柿に向くのは、糖分が多く繊維が少ない、大きくてかための渋柿です。県内の品種では、甲州百目と大和百目が挙げられています。

03枯露柿は、どうやって作る?

縁側の竹竿に紐で吊るされた皮むきの柿と大根

枯露柿づくりは、例年11月上旬の柿の収穫から始まります。農林水産省の図鑑と、やまなし観光推進機構の紹介をもとに、流れをまとめました。

なかでも目を引くのが、竿に吊るして干す天日干しの景色です。皮をむいた柿がずらりと並ぶ様子は、農林水産省の図鑑でオレンジ色のカーテンにたとえられています。これが、この記事で紹介する「柿すだれ」の景色です。

干している間は、天気との相談です。やまなし観光推進機構の紹介によると、雨の日はシートをかけて、柿が濡れないようにするそうです。山梨県の資料でも、雨に濡れないよう気をつけることや、カビを防ぐ工夫が紹介されています。

農林水産省の図鑑によると、柿は日光を浴びながら、朝夕の冷たい風で湿り気を保ちます。こうしてじっくり熟成させることで、しっとりと仕上がるそうです。山梨県の資料には、家庭で軒下に干す場合、天候によりますが約40日かかるとあります。

04柿すだれが見られるのは、いつ・どこ?

柿すだれが見られるのは、例年11月から12月初旬ごろです。農林水産省の図鑑によると、甲州市塩山の松里(まつさと)地区では、この時期に民家の軒先や庭に枯露柿が吊るされます。その様子は、晩秋・初冬の甲州市の風物詩になっていると紹介されています。

関東農政局のページでも、松里地区は気候が枯露柿づくりに適した名産地として紹介されています。11月上旬になると、軒先に柿のカーテンが見られるようになるそうです。

見学しやすい場所としては、JR塩山駅北口の正面にある「旧高野家住宅(甘草屋敷)」があります。江戸時代から続く屋敷で、主屋などが国の重要文化財に指定されています。やまなし観光推進機構の紹介(2021年)によると、ここにもたくさんの枯露柿が吊るされ、柿の手入れは甲州市の職員が業務の合間に行っているそうです。

屋敷の中にも見どころがあります。やまなし観光推進機構の紹介によると、昼前後には、建物の中の畳に柿の影が映る景色も見られるそうです。昔、柿や大根などの農作物を保存・乾燥させるのに使われた「地実棚(じみだな)」も残っています。

項目旧高野家住宅(甘草屋敷)
場所甲州市塩山上於曽
行き方JR中央線 塩山駅の北口から徒歩1分
開館時間9時〜16時30分
休館日火曜日(祝日の場合は翌日)、12月28日〜1月4日

表は、甲州市とやまなし観光推進機構の案内をもとにしています(2026年11月に確かめた内容)。干す時期や開館の予定は、年や天候で変わることがあります。入館料なども含めて、出かける前に甲州市や施設の最新の案内を確かめましょう。

05枯露柿には、どんな歴史がある?

枯露柿は、武田信玄のすすめで生産が広まったと伝えられています。干し柿は、保存食として作られてきた食べ物です。やまなし観光推進機構のサイトでは、信玄がこれを戦の食料(陣中食)として奨励したという話も紹介されています。

甲州市のサイトに載る「松里公民館だより」(2021年12月)には、地元の郡誌に残る言い伝えが紹介されています。元亀年間(1570年代の初め)に、信玄が干し柿づくりを奨励したという内容です。美濃国(今の岐阜県)の良い柿を植えて増やしたのが始まりだ、とも書かれています。

江戸時代には甲州の名産の一つとなり、幕府にも献上されました。公民館だよりには、年末年始の贈り物に欠かせない品になったという記述もあります。柿は、ぶどうや桃などと並ぶ「甲斐八珍果」の一つにも数えられました。

農林水産省の図鑑では、1965年ごろまで、皮むきは近所の女性が大勢集まって行う夜なべ仕事だったと伝えられています。公民館だよりには、2021年に地元の小中学校の子どもたちが収穫や皮むきを体験した様子も載っています。

2022年7月には、山梨市・笛吹市・甲州市の果樹農業が、世界農業遺産に認定されました。正式な名前は「峡東地域の扇状地に適応した果樹農業システム」です。農林水産省の紹介では、果樹農業とともに発展してきた果実加工の例として、ワイン醸造と並んで枯露柿が挙げられています。

06見に行くときに、気をつけることは?

柿すだれの多くは、農家や民家の軒先にかかっています。そこは人が暮らし、作業をしている場所です。見学のしかたを定めた公式の案内は見当たりませんでしたが、次のような心配りをしておくと安心です。

  • 敷地に入らない:庭や作業場には入らず、道路から眺める。
  • 柿に触れない:干している柿は、食べ物として仕上げている途中のもの。
  • 写真は人を写さない:家の人や作業中の人、家の表札などが写らない向きで撮る。
  • 車を止める場所:細い道や家の前に止めず、駐車場のある場所を選ぶ。

落ち着いて見たいときは、旧高野家住宅(甘草屋敷)のように、公開されている施設を選ぶ方法もあります(休館日は前の章の表のとおりです)。雨の日は柿にシートがかけられることもあるので、晴れた日に出かけると景色を楽しみやすくなります。

07地域のお店・会社として、この季節にできることは?

柿すだれや枯露柿は、甲州市の冬を伝える身近な題材です。お店や会社の発信でも、季節の景色や、枯露柿を使ったメニュー・商品の紹介など、地域ならではの話題にできます。撮影するときは、民家や作業中の人を勝手に写さず、許可を得た場所を選びましょう。

行事や季節に合わせた発信の時期は「山梨の販促カレンダー」で紹介しています。外国人観光客への伝え方は「山梨のインバウンド集客」をご覧ください。

08よくあるご質問

Q枯露柿とあんぽ柿は、何が違いますか?
A

どちらも渋柿で作る干し柿ですが、仕上がりの水分が違います。山梨県の資料では、水分が25〜30%で白い粉が吹いたものを枯露柿、50%前後で軟らかいものをあんぽ柿と呼んでいます。

Q柿すだれは、いつごろ見られますか?
A

例年、11月から12月初旬ごろです。天候や作業の進み方で前後するので、旧高野家住宅(甘草屋敷)など施設の案内や、甲州市の情報を確かめてから出かけましょう。

Q枯露柿は、どこで買えますか?
A

農林水産省の図鑑によると、特産品を扱うお店などで売られていて、木箱入りの贈答用が多いそうです。インターネットで買えるものもあります。並ぶ時期や数は年によって違うので、お店の案内を確かめてください。

Q枯露柿の季節に合わせた発信や撮影を相談できますか?
A

はい。季節の景色や商品の撮影、SNSでの発信、チラシのデザインなど、お店や会社の冬の発信についてご相談いただけます。

まとめ

枯露柿は、大きな渋柿「甲州百目」の皮をむき、吊るして干したあと、揉んで転がしながら仕上げる甲州の干し柿です。水分が25〜30%まで抜け、表面に白い粉が吹いたものを指します。武田信玄のすすめで広まったと伝えられ、世界農業遺産の地域でも果実加工の例に挙げられています。

柿すだれが見られるのは、例年11月から12月初旬ごろです。甲州市塩山の松里地区のほか、塩山駅北口の旧高野家住宅(甘草屋敷)でも、枯露柿が吊るされる様子が紹介されています。暮らしの場への心配りと、最新の案内の確認を忘れずに、冬の甲州市を訪ねてみてください。

参考:山梨県「ころ柿」(やまなしの食、2025年2月25日更新)/農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 ころがき」/富士の国やまなし観光ネット(やまなし観光推進機構)「甲州名産『枯露柿』」(2021年11月16日更新)/関東農政局「2023年 フォトレポートギャラリー(山梨県拠点)」/甲州市「松里公民館だより No.9」(2021年12月)/甲州市教育委員会「重要文化財 旧高野家住宅(甘草屋敷)」/富士の国やまなし観光ネット「旧高野家住宅(甘草屋敷)」/農林水産省 広報誌aff「旅する農業遺産 山梨県 峡東地域」(2023年8月号)/農林水産省「山梨県 峡東地域」(世界農業遺産)

この記事を書いた人 木本 一心ホマレグラフ株式会社 代表取締役 / Ad Arch グループ 山梨県拠点代表

山梨県甲斐市と東京都港区を拠点に、映像制作を軸に、SNSマーケティングと広告の事業を行っています。映像の企画・撮影・編集から、TVer広告やSNS運用まで、広告エージェンシーとして1社でまとめてお任せいただける体制です。全国24拠点・TVer広告の正規代理店ネットワーク「Ad Arch グループ」の一員です。

この記事の数字や制度は、官公庁・業界団体・各社の公式発表で確かめたものだけを載せ、出典を記事の最後に並べています。内容は公開日時点の情報です。

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